2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月24日

 豪印は、インド洋と太平洋の結節点に位置し、両国とも「アジア太平洋」よりも「インド太平洋」という用語を好むことに象徴されるように、類似した地政学的観点を持っています。豪印が関係を強化するのは極めて自然な流れです。アボット豪首相の訪印と近い時期に、中国の習近平主席が、南アジアを歴訪して「海洋シルクロード構想」の推進を明確にしていますが、これは、豪印の連携を加速させる要因になるでしょう。豪印関係の強化は、中東からインド洋、南シナ海に至るシーレーンが死活的である日本にとっても、当然、歓迎すべきことです。

 ただ、論説が言う、豪産ウランは軍事的には利用されないという保障については、あまり大きな意味はありません。インドは核兵器を持っており、そのためのウランも保有しています。民生用ウランが購入できれば、それを民生用に使うことで軍事用に使える自前のウランを増やすことができます。単に、NPT非加盟国であるインドにウランを売る際の、豪側の気持ちが静まる効果くらいしかないのではないかと思います。

 日本も、今後、原子力技術を輸出するための協定をインドと結ぶことになるでしょう。圧力容器などが輸出されるのでしょうが、民生用技術が主で、軍事転用され得る技術は、そう多くないと思われます。それでも、協定の国会通過を円滑にするために、軍事転用禁止に、それなりの手当てをしておくべきでしょう。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る