地域情勢安定は米国頼み
「戦争が起きたら米国が助けてくれるだろう」という回答は89.7%で、大部分の人は米国を代替できない同盟国として認識していることがわかる。韓国では、時の政権による程度の差こそあれ、基本的に米韓同盟が重要であることに異論はない。以下の表からわかるように、安全保障の面では中国よりも米国との関係強化を選択する傾向が強いが、それでも中国との安保協力を選択する国民が約3割いることは、決して少ないとは言えないだろう。
今年6月にCSISが発表した報告書“Power and Order in Asia―A Survey of Regional Expectations”は、アジア太平洋地域11カ国(豪州・ミャンマー・中国・インド・インドネシア・日本・シンガポール・韓国・台湾・米国・タイ)の国際関係に精通した専門家を対象に、地域秩序に関する評価や予測について調査し、その結果を分析したものである。同報告書では、韓国の専門家の86%の人が、「10年後の韓国にとって最も重要な経済パートナーとなる国は中国」であると予想している。また、同じく8割以上の人が、「10年後の東アジアにおける秩序の変動に関し、引き続き米国の強いリーダーシップが維持される」と予測している。一見矛盾するようだが、これが韓国人の描く地域秩序と自国の関係なのではないか。
後者の予測は、他国の専門家による予測と比較した場合、総合的な国力として米国のリーダーシップ維持を予測する回答者の割合が最も高かった国が韓国であり、これは同国が、引き続き米国主導の地域秩序を期待していることの表れであると筆者は考える。現時点で韓国は、安全保障と経済分野において米中の戦略的活用を分けているものの、中国は機会を捉えて韓国を「試し」ている。たとえば、安全保障分野では、米国が進める地上配備型のターミナル段階高高度地域防衛(THAAD)の韓国国内への配備に反発し、経済分野では中国が推進するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への韓国の参加を要請するなど、韓国への揺さぶりをかけている。