2024年11月25日(月)

韓国の「読み方」

2014年11月17日

米国よりも中国と価値観を共有している?

 価値観の共有に関する質問の結果は予想外であった。「中国人と韓国人が価値観を共有していると思うか」という質問に対し、32.5%が「共有している」と回答し、64.4%が「価値観が異なる」と答えた。他方、米国と価値観を共有しているという回答は24.2%で、中国より低い結果が出ている。米国に比べ、中国とより価値観を共有しているとの認識には驚いたが、しかし見方によっては、半数以上の人が「中国とは価値観が異なる」と考えていることから、習近平主席と朴槿恵大統領が目指す「中韓人文紐帯」の強化には相当なハードルが存在することを示唆していよう。

 中国のアジアにおけるリーダーとしての役割については、35.9%が肯定的と答え、55.4%が否定的と回答した。アジアにおける中国のリーダーとしての役割については、半数以上の韓国人が否定的にとらえており、地域秩序全体の指導者としての役割は期待していない。

米国と中国は、「生存」と「発展」

 習近平体制発足以降、韓国が中国に対して抱く安保脅威は低下しつつある。これは中国の北朝鮮に対する姿勢の変化、2013年2月の第3次核実験、「天安」艦沈没事件や延坪島砲撃事件のような大規模な軍事挑発が起きていないこと、中韓貿易量の急増などがその背景に挙げられる。韓国の中国に対する好感度も米国に続き高いが、かといって中国に対する不信が払拭されたわけではない。依然として半数以上の韓国人が中国を軍事・経済的脅威とみなしており、中国の韓国に対する歩み寄りを半信半疑でみている。

 先日ソウルで会ったある研究者は、韓国にとっての米中を次のように表現した。「韓国にとって米国と中国は、『生存』と『発展』である。したがって、『発展』はもちろん重要だが、そのために『生存』を犠牲にすることはない」と。前述した中国と韓国企業の技術格差の縮小に伴う懸念のみならず、脱北者問題、中国による不法漁業問題、FTA交渉など、中国と韓国は潜在的な問題を多く抱えている。韓国の政策選択は今後一層困難を増すであろう。

  
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