2024年11月22日(金)

韓国の「読み方」

2014年11月17日

中国の経済的浮上と脅威

 では、韓国にとって中国の脅威とは何か。2000年代初め、中国の経済成長に対する韓国人の認識は肯定的であった。2006年の調査では、58.5%の人が中国の経済力強化に肯定的であると回答し、40.8%は否定的な見方を示した(図6参照)。しかし2012年には52.7%が「中国が韓国経済と雇用を脅かす」と答え、43.5%が「中国の発展が新しい市場と投資の機会をもたらす」と答えた。この時期、肯定的な見方と否定的な見方の割合が逆転している。そして2014年の調査では、中国を経済的脅威と見なす割合が71.9%と大きく増加した。2008年に北京オリンピックを開催し、2010年には日本のGDPを抜いて世界2位の経済大国に躍り出た中国を、その隣の国は間近に迫った経済的脅威として認識してきた。

 経済的脅威となる具体的な懸念要素は何か。中国を経済的脅威とみなすと回答した人にその理由を聞くと、43.6%が「中国と韓国の技術格差が縮まり、競争が激化したため」と答えている。続いて、32.9%は「中国の安い労働力の影響で、韓国の雇用が減少するため」と答えた。「中国産製品の価格競争力が高いため」は18.6%であった。

サムソンを追いかける小米(シャオミ)

 中国の年間研究開発投資額は2010年に既に韓国の約3倍となり、特許出願件数・科学論文の数も各々韓国の2倍、4倍であるという。両国の技術格差が縮まるのも時間の問題である。

 技術格差の追い上げを懸念する理由は、両国の主要産業が類似しているためである。両国の主要輸出品目は、携帯電話、半導体、精密機械、貨物船、石油製品、携帯電話部品など品目が重なっている。これらは、韓国が得意分野とし、韓国経済にとって大きな比重を占めてきた電子、化学、造船分野に該当する。サムソンを代表とする韓国の電子産業は、これまで部材を中国に輸入し中国を製造拠点として海外に輸出を行ってきたが、中国企業の成長と、自国産業を育成しようとする中国の動きによって、両国の企業が競合する状況になってきたのである。

 現に、中国企業の小米(シャオミ)はサムソンの競合企業として浮上し、中国市場ではサムソンを抜きシェア1位に躍り出た。近年、中国政府が外国人投資企業に対する恩恵を縮小したり、外国企業に対する法人税の優待を廃止したことも、自国企業の保護を目的としたものであろう。世界市場でこれまで韓国企業が占めてきた分野も、中国企業の躍進により浸食されていく傾向にあり、こういった現実が韓国人の経済的脅威となっている。


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