2024年7月23日(火)

経済の常識 VS 政策の非常識

2014年11月19日

 さらに、消費税増税でGDPが減少する効果がある。5兆円の増税は、GDPを5兆円低下させると見るのが穏当な予測であろう。ただし、2.5兆円分の公共事業の積み増しがあるので、GDPが2.5兆円増加すると考えることができる(増加しないという説もあるが、ここでは増加するとしておく)。すると、GDPは差し引き2.5兆円低下する。

 GDPが低下することで、税収も減少する。どれだけ減少するかについては、大きく減少するという説とGDPの低下率と同じだけ減少するという説がある。ここでは、後者の説にしたがって、無視できるとしておこう。すなわち、財政状況の改善は2.5兆円である。

 以上の議論をまとめる。消費税を2%ポイント上げた場合の政府債務対GDP比率は、分子、分母とも2.5兆円減る。比率は(1000兆円-2.5兆円)÷(500兆円-2.5兆円)で200.5%と上昇する。

 話がこんがらがって分かりにくいので表にすると、以下のようになる。

 消費税を上げなければ、分子の債務は減らないが、分母のGDPも減らないので、比率は200%と変わらない。

 消費税を上げた方が、この比率が上がるというのは意外な結果だが計算は合っている。これに対して、消費税増税がGDPを減らす効果はそれほど大きくはないという反論があるだろう。そこで、消費税増税のGDPを減らす効果が、私の想定の半分だとすれば、GDPは1.25兆円しか減らないことになる。分子が2.5兆円減って、分母が1.25兆円減るので、比率は(1000兆円-2.5兆円)÷(500兆円-1.25兆円)で200%のままである。

 さらに、消費税増税でGDPが減る効果は一時的だが、税収増の効果は永久だという反論があるだろう。分子が2.5兆円ずつ減っていくから、2年たてば分子は(1000兆円-2.5兆円×2)となる。一方、分母はそのままなので、比率は995兆円÷497.5兆円で、200%に戻り、3年目以降は低下していく。しかし、11月18日の総理の決定では、1年半後には8%を10%に引き上げるとしているので、消費税を上げても下げても、比率にはたいして変化がない。


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