米台商業協会会長のハモンド=チャンバースが、10月22日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、米国は台湾の豚肉禁輸のような細かいことに拘るべきではなく、戦略的見地に立って、米台二国間投資協定の交渉に直ちに応じるべきである、と述べています。
すなわち、米国は、台湾に対し、長年、緊密な軍事関係と強固な経済・商業関係を同時に追求してきた。米国は、台湾に武器を売り、台湾に米国市場へのアクセスを提供し、WTOなどの国際機関への台湾の加盟を支持してきた。こうした支持が、中台関係にバランスをもたらしてきた。それは、米台双方にとり利益である。
しかし、最近、中国は、台湾の最大の貿易パートナーとして、米国を凌駕し、台湾の輸出の43%以上を占めている。一方、米国は、台湾の貿易パートナーの中では第三位に転落している。
一方、台湾は、TPPへの参加に先立ち、米国との二国間投資協定の交渉を望むことを示唆している。台湾の目標は、台湾が経済的に活発で安全であることであり、これは米国の利益と一致する。なぜ、豚肉をめぐる問題で、ワシントンが、米台関係を拡大する機会を無駄にしようとするのか、理解に苦しむ。豚肉は、米台貿易全体の0.06%に過ぎないのに、米国の貿易交渉担当者と議会は、二国間投資協定の交渉の前に、台湾の豚肉貿易の体制を変えるよう要求している。
今こそ、米国が台湾に関する国益を増進させる機会である。2016年には、米台で大統領選があり、双方の新政権が落ち着くまで、米台関係を進展させるのは困難になろう。中国は、それを、自らの国益の更なる追求のために用い、両岸の緊張は高まるであろう。
中国は、最終的には台湾を統一するという目標を立て、台湾を経済的には引き付け軍事的には威嚇する政策を取っている。台湾人が統一を拒否し続けているのに、台湾が中国の経済的勢力圏にさらに取り込まれることは、紛争のもとである。米国は、台湾海峡の平和を望んでいるが、米国がそれを維持するために何をする用意があるのか、明らかではない。