アンジーが高いリスクを負うとされた家族性の乳がんは、遺伝性がはっきりとしている病気。一方、個人向け遺伝子検査の対象は、家族性以外のがんや生活習慣病など、遺伝要因の大きさがはっきりせず、遺伝子検査が診断や治療にとって何の役にも立たない病気ばかり。同じ遺伝子検査といっても、病院と個人向けでは対象としているものが全く違う。個人向け遺伝子検査は、医療者の間でいういわゆる「治療方針に影響を与えない検査」だ。
個人向け遺伝子検査キットを販売する会社は国内だけでもすでに13社あった。今回改めて注目を浴びているのは、DeNAが東京大学医科学研究所と共同してサービス提供することが報道されたから。DeNAは数億円をかけて、東大医科研の建物の7階に最新の機器の入った自前のラボを設立。今まではあまり注目もされず、差別化もされていなかった個人向け遺伝子検査市場に「科学的で信頼できそう」というブランドイメージで参入した。
こうした産学協同のブランド戦略はDeNAと東大にとどまらない。ヤフーは現役東大院生が代表を務めるジーンクエストと組んで、10月に同様のサービスを開始すると発表している。
「製薬業界の知り合いからも、占いみたいなものだよと言われました。それでも、知れるのなら知れるだけ自分のことを知りたい」