「呟く市長」は何を変えようとしているのか

2014年12月11日

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 これまでの千葉市は、いつも周辺の政令市の施策を見ながら「では千葉市はこれくらいで」とやってきたきらいがあります。これでは延々と後追いになるだけです。相手は民間企業であり、市場です。ビジネスでは自ら切り開いていかないといけない場面が必ずあって、「横浜市がやっているから千葉市も同じことを」では勝てない。少なくとも後追いをするのであれば、先行者を追い越さなければ勝負にすらならないんですね。もちろん、バナナの叩き売りにならないよう、しっかりとした収支見通しを立てた上で、です。

 私は職員の意識を変えたかったんです。ずっと同じことをやっていても変わることはできません。皆と同じ武器を持つことは悪いことではありませんが、それが有効なのはその武器を持つ人の能力が、相手よりも高い場合に限られます。残念ながら千葉市は長年にわたって横並びと現状維持だけでやってきたので、意識のレベルが戦える段階ではなかったんです。一点突破でも突き抜けて、追われる立場という未知の領域を経験してもらいたかった。

 どれも60点を取るようなタイプは、だんだん集団に埋没してしまいがちです。それは「60点でいい」という勉強のやり方になっていくからです。合計点は悪くても、1教科でも90点を取るタイプは100点を目指した勉強をした経験があるため、大成しやすい。100点を目指す思考回路と意識をどこかで持たなくてはいけないし、その経験は、次第にほかの教科にも展開していくはずです。自ら切り開いて未知の領域で追われる立場になってみたときに見える景色、その高みを見せたかったんです。

 いま職員は、皆とても高い意識で市政にあたってくれています。千葉市の身の丈ではすべての領域で100点を目指すわけにはいきませんが、どこの分野であれば100点を取りうるかをまず見極めて、そこについてはとことんやると決める。その経験がほかの組織にも波及していけばいいと思っているんですね。

――施策を行う側としては「横浜市のような強い市が100点の施策をやっているのだから、わが市の身の丈ならば80点が妥当だろう」となりがちなのでしょうが、誘致される側から見ればわざわざ80点を選ぶインセンティブがないですね。

熊谷:動機を生まないですよね。企業は「80点でいい」と思っている職員に命運を預けたくはないはずですから。

 後追いする側は、先行者によってすでにリスクも検証されていますから、いつだって楽です。でもそれだけをやっていると、リスクをとる側の気持ちがわからなくなってしまう。千葉市の身の丈であれば、ときには一位を取る、取れるときに取りにいく、それで十分です。それ以外は前例踏襲型のリスク回避主義でも、私はいいとは思っています。

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