世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月8日

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 アジアで外交は今日、力を持っていない。しかし、海空での条件変化により、合理性が主流になり、平和的解決が花開くかもしれない、と論じています。

出典:Michael Auslin ‘Pacific Militaries Rising’(Wall Street Journal, November 27, 2014)
URL:http://online.wsj.com/articles/pacific-militaries-rising-1417110029

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 オースリンは、この論説で、アジアでの軍拡の結果、衝突のコストを考え、中国も領土主張を平和的手段で行うように路線転換を行うことがあり得るとしています。オースリン自身も、楽観的に考えればと言っていますが、そういうことになる可能性はそれほど高くないと思われます。

 孫子の兵法では、戦わずして勝つのが最善とされています。中国はサラミ戦術でゆっくりと地歩を築く傾向があります。領土獲得については、目的を変えず、かつコストの高い衝突はできるだけ避け、相手の反発を見極めながら徐々に圧力を強めてくるように思われます。戦術的調整はしますが、路線転換はしない可能性が高く、戦術的調整を路線転換と勘違いしてはいけません。

 中国の領土拡張主義には、こちらも力で対応する準備をしていく必要があります。日米豪が協力していけば、まだそれは可能です。それがバランス・オブ・パワーによる平和につながります。不安定な平和にしかならないかもしれませんが、それしか方法はありません。

 中国が紛争のコストを考え、路線を変えるのであれば、よく見極めてこちらも対応を変えればよいわけです。国際法秩序を守ること、拡張主義はやめることを要求し、さらには軍拡競争に歯止めをかける軍備管理提案をすることなど、知恵はいくらでも出せるでしょう。

 世界の歴史で比較的長期に平和が保たれたのは、勢力均衡による平和(ウィーン会議後の欧州)、核による相互抑止による平和、覇権国の圧倒的武力による平和(パックス・ロマーナや戦後直後のパクス・アメリカーナ)くらいしかなく、これからのアジアの平和は、勢力均衡による平和しかないのではないかと考えます。

  
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