刺激し合う2人の戦いに注目
最後に、今シーズンの2人を占ってみたい。
松山は、ドライバーの飛距離も大きく伸ばしていることがデータからうかがえる。深いラフに対応するため、昨年から取り組んだ、上半身の筋力トレーニングが成果を挙げてきた証拠だろう。
目を引くのはアプローチの巧みさだ。世界トップクラスといっていいだろう。松山のすごさは「失敗を怖れない攻めの姿勢」にある。
弱点だったパットが好調で、状態はいい。今シーズンも楽しみだ。
一方、石川は、ティー・ショットで攻めの気持ちが戻ってきた。ドライバーで打つ回数も増え、距離がでている。
相変わらず、落としどころは悪く、フェアウェイ・キープ率は低いものの、そこからのリカバリーで健闘している。パーオン率は高い。
パットでは、思ったような結果は残せていないが、アプローチは松山とひけをとらない結果を残している。ここに石川の強みがある。心理面でも何かが起き、変化の兆しが見えてきた。
タイガー・ウッズがスイング改造したときの経験をこう語る。石川に贈りたい。
「改造がある程度成果を挙げるのに1年以上の歳月はかかった。まずは、スイング自体が良くなり、次第に球筋にその成果が表れてきた。そして自分のフィーリングと実際のフィーリングのズレが少しずつ縮まり、いつしかそれが体に馴染むようになった」
石川は、がまんの年ということだろう。
松山と石川。「遼」「英樹」と呼び合い、「お互いの存在を認め、刺激し合うライバル」だ。
2007年、石川が日本ツアーで、15歳という史上最年少優勝を果たした。同じジュニアで競い合ったライバルに刺激を受けた松山は、2010年のアジアアマチュア選手権に優勝し、翌11年にはそろって、メジャーのマスターズに出場した。
PGAツアー参戦は石川が1年先行したが、優勝は松山が先にもぎとった。この悔しさを石川がどう生かすか。
若き日本のスーパースターたちがどんな戦いを見せてくれるか、目が離せない1年になりそうだ。
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