2024年4月20日(土)

科学で斬るスポーツ

2015年1月9日

刺激し合う2人の戦いに注目

 最後に、今シーズンの2人を占ってみたい。

 松山は、ドライバーの飛距離も大きく伸ばしていることがデータからうかがえる。深いラフに対応するため、昨年から取り組んだ、上半身の筋力トレーニングが成果を挙げてきた証拠だろう。

 目を引くのはアプローチの巧みさだ。世界トップクラスといっていいだろう。松山のすごさは「失敗を怖れない攻めの姿勢」にある。

 弱点だったパットが好調で、状態はいい。今シーズンも楽しみだ。

 一方、石川は、ティー・ショットで攻めの気持ちが戻ってきた。ドライバーで打つ回数も増え、距離がでている。

 相変わらず、落としどころは悪く、フェアウェイ・キープ率は低いものの、そこからのリカバリーで健闘している。パーオン率は高い。

 パットでは、思ったような結果は残せていないが、アプローチは松山とひけをとらない結果を残している。ここに石川の強みがある。心理面でも何かが起き、変化の兆しが見えてきた。

 タイガー・ウッズがスイング改造したときの経験をこう語る。石川に贈りたい。

 「改造がある程度成果を挙げるのに1年以上の歳月はかかった。まずは、スイング自体が良くなり、次第に球筋にその成果が表れてきた。そして自分のフィーリングと実際のフィーリングのズレが少しずつ縮まり、いつしかそれが体に馴染むようになった」

 石川は、がまんの年ということだろう。 

 松山と石川。「遼」「英樹」と呼び合い、「お互いの存在を認め、刺激し合うライバル」だ。

 2007年、石川が日本ツアーで、15歳という史上最年少優勝を果たした。同じジュニアで競い合ったライバルに刺激を受けた松山は、2010年のアジアアマチュア選手権に優勝し、翌11年にはそろって、メジャーのマスターズに出場した。

 PGAツアー参戦は石川が1年先行したが、優勝は松山が先にもぎとった。この悔しさを石川がどう生かすか。

 若き日本のスーパースターたちがどんな戦いを見せてくれるか、目が離せない1年になりそうだ。

  
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