科学で斬るスポーツ

2015年1月9日

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メンタルをいかに強くするか

 一流の選手は、素振りの時と、実際に打つときのフォームがほぼ同じになる。再現性を高めるには、リラックスし、体幹など大きなパワーを出す筋肉を主導させるスイングがいいと言われる。

 この点に関連して、米スーパースターのタイガー・ウッズは、著書で興味深いことを語っている。

 「重力にまかせる」

 『タイガー・ウッズ 私のゴルフ論』(テレビ朝日事業局ソフト事業部)に、ウッズは、ダウンスイングは力任せに振り急いではいけないとした上で、「僕は、ダウンスイングを腕ではなく左サイドへのシフト(体重移動)から始める。左半身へのシフトを追いかけるように両腕を胸正面に“落とす”意識で下ろしていく」と述べている。力任せでなく、重力をうまく使った方が、ボールを遠くへ飛ばせるのだという。

 しかし、こうした高い再現能力が求められるゴルフは、心理面が大きく影響するスポーツでもある。松山、石川もいま一流選手のメンタルを獲得すべき、途上にあると言えるだろう。

 ゴルフのメンタルトレーニングなどに詳しい、大阪体育大の菅生貴之准教授は「同じ技量を持っていても精神的な強さで大きな差が出てしまうのがゴルフ。止まっているボールが相手で、すべて自分の責任。ラッキーという側面が少ない」と語る。

 石川が、ティー・ショットでドライバーではなく、アイアンを握るのもマイナスイメージに覆われているからだろう。

 菅生さんは「石川は、誠実な人柄で、ほかの人が見えないところ、もしくは見なくてもよいところが見えてしまうタイプ。人は、だれでも『自分はできる』という効力感と『ダメに決まっている』といった無力感がせめぎ合ってプレーしているものだが、今はネガティブな考え方にとらわれてしまっている。一方で、松山はいい意味でおおざっぱ。目を向けなくていいものには、目を向けないでおける強さがある」と分析する。

 2人が、どんな状況でも動じない精神力をつけるために、どうしたらよいか。多くのアスリートが取り入れている、メンタルトレーニングが必要だと菅生さんは言う。「すでに専門家を付けて実行しているかもしれないが、ここぞという時には何も考えない、無心の状態であることが大事」

 タイガー・ウッズの言葉が胸にしみる。

 「ゴルフで成功するための鍵は、心の均衡を保つことです。ゴルフとは浮き沈みのあるゲームで、ラウンド中に何が起きても、その事実を受け入れなければなりません」

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