SGP は、「Stroke Gained:PuttinG」の頭文字をとったもので、各ホールの平均パット数に比べて、どれだけ少ない打数に抑えることができたことを示す。いわば「パットの稼ぎ数(出来栄え)」と言える。プラスであればあるほどパットがよいことを意味する
統計学者の鳥越規央博士によるとPGAツアーでは、パットにおけるホールまでの距離ごとに1パットで決められる確率、平均パット数などのデータが蓄積されている。これをもとに、コロンビア大学のマーク・ブローディ教授が考案したのが、SGPという。誰がパットの名人であるかを示すものだ。
例えば、10フィート(約3m)を残した場合、1パットで入る確率は40%、平均パット数は1.61。1パットで決めれば0.61、2パットだとマイナス0.39になる。これをラウンドごとに全ホールで平均したのがSGPだ。
もちろん数値が良い方がいい。ただ、SGPはマイナスでもSGT2Gを大きく稼げば上位に食い込めることもある。ただ、ツアーで優勝を狙うとなると、マイナスは苦しい闘いを強いられる。
SGT2Gは、「Stroke Gained:Tee to Green」の略。ティー・ショットからグリーンに達するまでの平均ストローク数に比べてどれくらい少ない数で抑えたかを示す。SGPと同様な考えで、その距離におけるアプローチショットの稼ぎ数(出来栄え)である。プラスがよい出来栄えとなる。
SGTは、「Stroke Gained:Total」の略で、SGPとSGT2Gを足したものである。
松山は、昨シーズンSGPはマイナス。パットが悪かった。しかし、SGT2Gはランキング6位と、アプローチが極めてよかったことがわかる。トータルでも平均より1打稼いでいる。
今シーズンに目を向けると、まだ始まったばかりで何とも言えないが、苦手のパットが著しく改善していることがわかる。SGPがプラスに転じているのだ。松山自身も、パットに神経を集中しているのだろう。SGT2G、SGTは、昨シーズン並みにまずまずの出来だ。
鳥越さんは、「SGTにおいて、ツアー選手の平均のパット(SGP)の貢献度は15%だが、優勝を狙うようなトップ選手になると35%に跳ね上がる。松山はティー・ショット、アプローチともに世界レベル。メジャー優勝にはパットの出来が鍵を握る」と指摘する。まさに「Putt is money」だ。
石川の不安材料はドライバーショット
一方、石川はどうか。昨シーズンのドライバー飛距離はまずまずだが、フェアウエイ・キープ率は極めて悪い。ドライバーに苦しんでいた石川自身を如実に物語る数字だ。日本よりフェアウエイが極端に狭いコース設計で、1番ウッドを持たずにアイアンでティー・ショット打つ場面が多かった理由はここにある。