He told his sister that he had killed people and he didn’t know how many. He wanted to know if God would forgive him. He knew that he had belonged in Afghanistan, and that the Taliban soldiers would have killed him if he hadn’t shot them first, but still killing troubled him. (p355)
「彼は妹に、自分は人を殺し、何人殺したか分からないと話した。神が自分を許してくれるか彼は知りたがっていた。自分はアフガニスタンの地にいたのであり、先に相手を撃ち倒していなければ、タリバン兵たちが自分を殺していたことを理解はしていたが、人を殺してしまったことで悩んでいた」
2001年の同時テロを受けて始まったアフガニスタンやイラクでの戦争を巡っては、ブッシュ政権の政策決定のプロセスや、イラクでの人道に反する捕虜の扱いなどを巡り、多数のノンフィクションが発刊されてきた。本書は、国の命令に従って命をかけて戦った、あくまでも生身の兵士たちに密着したノンフィクションだ。
評者(森川)は本書のページを繰りながら、国を守るために日露戦争を戦った男たちの群像を描いた司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」を思い出した。常に世界のどこかに軍隊を派遣しているアメリカでは、軍事ノンフィクションがベストセラーリストの上位に入ることが珍しくない。これは、日本とアメリカのベストセラーリストの最大の相違点でもある。
本書は5月に、ニューヨーク・タイムズ紙の週間ベストセラーリストの単行本ノンフィクション部門の10位に初登場。その後、少しずつ順位を上げ一時は2位まで浮上。直近の7月17日付(ウエブ版)でも4位と健闘し、9週連続でトップ10にランクインしている。
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