2024年4月20日(土)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2015年3月17日

 さて、アユタヤまで来たのだから世界文化遺産になっているアユタヤ遺跡を見学した。アユタヤは1351年に建都されてから417年間もアユタヤ王朝の中心として発展したが特に17世紀には欧州と東南アジアを結ぶ国際貿易都市として繁栄した伝統がある。

 アユタヤは朱印船貿易で栄えたので当時の日本人町には1500人もの日本人が住んでいたといわれている。その日本人町の頭領となったのが山田長政である。1612年頃に朱印船でシャム(現・タイ)に渡り日本人傭兵隊に加わり、スペイン艦隊の二度にわたるアユタヤ侵攻を退けた功績でシャムの王女と結婚してチャオプラヤ川に入ってくる船の税金を徴収する高官にまで出世したという。

 角田社長と話していると山田長政の時代と現在がなぜか重なってくるような気にさせられる。関ヶ原の戦いの後、山田長政は浪人となり、もはや戦いのない日本にいるよりも海外に出た方が可能性はあると思ったはずだ。角田社長も柔構造社会の日本にいるよりも活躍ができるタイに進出したのである。

 さて、話題は変わるが、私がバンコクにいる間に大きなニュースが飛び込んできた。タイ最大級の華人系財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループが去年から伊藤忠商事との提携話を本格化したことは周知の事実だが、伊藤忠商事はCPと組んで中国の国有コングロマリットである中国中信(CITIC)に1兆2040億円を投じることを決定したというニュースである。

 資源ブームが一段落したので伊藤忠とCPは食料やコンビニ経営やインフラが事業の中心となる。レアメタル市場のみならず新しいアジアの経済圏が東南アジアと中国と日本で相乗効果を発揮し更なるグローバルシフトが本格化することに期待している。

  
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◆Wedge2015年3月号より


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