2022年10月1日(土)

Wedge REPORT

2014年11月2日

»著者プロフィール

 元木専務の両親は大熊町在住で、事故後は避難で落ち込んでいた。そんな両親をとまとランドで雇用したら元気を回復したというから、雇用や仕事は復興にやはり不可欠だ。

中間貯蔵施設にまつわる不合理

 中間貯蔵施設の受け入れを双葉町・大熊町が決めた。それと引き換えに3000億円の交付金、最後は県から150億円の追加補助金も入った。中間貯蔵施設の建設・運営コストは1兆円。土地の買い上げ費用としてまず1000億円が計上されたが、これもどこまで膨らむかわからない。県内各地の仮置き場からの運搬費用も膨大な金額に上るだろう。その上「中間」だから、30年後をめどに、膨大な除染土はもう一度「県外」のどこかに運び出すこととなる。数兆円をかけて30年後の更地をつくっているようなものなのだ。

 たしかに雇用を創出するのは大変だから、このような公共工事でもあったほうがいいという考え方はあるのかもしれない。しかし、仮置き場が当初恐怖を持って受け入れられたほど危険ではなかったように、セシウムの管理は他の産業廃棄物に比べれば決して難しくない。合理性だけを考えれば、各市町村単位で新たに産業廃棄物場をつくったほうが、中間貯蔵施設よりはるかに費用対効果が高い。

 中間貯蔵施設にはもうひとつ大きな問題がある。前章で見たように、大熊町・双葉町は全壊扱いで事故前評価額全額を賠償されている。本来の損害賠償のルールから言えば、所有権は東京電力に移管されるのだが、東電はさすがに所有権を引き取るとは言えず、結果、中間貯蔵施設対象地では、賠償金に買い上げ金額が上積みされることになるのだ。

 賠償金総額は6兆円のオーダーが見えてきている。中間貯蔵施設は数兆円規模。本来このいくらかを適正化し、難題である町づくりや雇用創出に金を回すべきだったのではないだろうか。

国道6号線よりさらに海沿いを走る県道391号線。津波襲来の跡がそのまま残る。事故前は原発従事者の通勤路だった

新着記事

»もっと見る