東日本大震災から4年経つ。当時を振り返ると、被災した企業は工場などの復旧に何か月も要した。一方で、直接は被災しなくても長く操業停止せざるをえなかった企業もある。サプライヤなどの関連企業が被災し、材料や部品が手に入らなくなったためだ。
巨大地震、津波、噴火、洪水などの災害が起きたとき、いかに事業を継続させていくかは企業のリスクマネジメントの大きな課題だ。とりわけ東日本大震災後、注目されだしたのが、「BCP」である。
「策定済み」企業は4割
BCPは、Business Continuity Planの頭文字をとったもの。「事業継続計画」ともいう。さまざまな定義があるが、「災害時に重要事業が中断しない、または中断した場合も目標期間内に重要な機能を再開させるための計画」と表せよう。
あなたの勤める会社にBCPはあるだろうか。経営者はBCPをご存知だろうか。認知度や実効度には、企業によってかなりの差があるといわれる。あるシンクタンクの調査では、2015年始時点で「策定済み」とする企業は大企業、中小企業含めて約4割、「策定中」は約2割だったという。
そこで今回は、BCPの基本的な考え方や有効な方策の建て方を、野村総合研究所上級コンサルタントの浅野憲周氏に聞く。浅野氏は、防災・危機管理戦略立案、災害リスクシミュレーション、BCPコンサルティングなどの専門家。内閣府の中央防災会議が公表した被害シナリオの策定などにも携わってきた。
