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2015年4月1日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

東京大学先端科学技術研究センター特任助教

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)。『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

経済上の負担と地政学的な利益

「ウクライナ東部をロシアに統合するよう提案する」
『スヴァボードナヤ・ガゼータ』2015年2月24日

(前略)
4. もしロシアがクリミアおよびいくつかの東部地域への支援を始めれば、現在の状況では予算上の負担となることは明らかである。

このことはマクロ経済的安定および経済的な見通しに関して明らかな影響を持つだろう。しかし、地政学的な見通しにたてば、これは我々にかけがえのない利益をもたらす。すなわち、我が国は新たな人口資源と産業・輸送分野における質の高い人材へのアクセスを手に入れることになろう。これに加えて、中央アジアからの移民に代えて西から東へのスラヴ人移民に頼ることができるようになる。軍需産業セクターを含むウクライナ東部の産業ポテンシャルをロシアの軍需産業に統合することはロシアの再軍備プロセスをより効果的かつ迅速に実現することを可能としよう。

最後に、なおかつ劣らず重要なことは、ウクライナにおいて起こる可能性の高い分断プロセスにロシアを建設的かつ「円滑に」参加させれば、クレムリンの統合プロジェクトに刺激を与えるのみならず、我が国が上記のようなウクライナのガスパイプライン・システムに対するコントロールを保持することが可能となるという点である。このことはまた、中欧及び東欧における地政学的風景を著しく変化させ、ロシアはその中で再び中心的役割を果たせるようになるだろう。

5. クリミアおよびウクライナ領東部で「親露的傾向」を立ち上げるためには、このプロセスに政治的正統性と道徳的正統性を与える出来事を前もって作り出す必要がある。

また、親露的戦略を実施するためには、これがロシア及びウクライナ南東部のエリートによる、やむを得ざる受動的な反応であることを強調せねばならない。

最近、ウクライナ西部(リヴォフ、ヴォルィニ、イワノ・フランキエフスク各州)においてキエフからの独立を求める住民運動が発生したことは、ロシア連邦への編入へと行き着く東部諸州の独立に関する根拠を提供する。

「押し出すべき『3つのスローガン』」

6. ウクライナ東部における行動は構造とシナリオに関して二面的なものでなければならない。

抗議デモの参加者は、最高会議に対し、現在議論中の憲法改革の範囲を拡大するよう要求しなければならない。ここには全ウクライナ住民投票の実施手続きの簡素化を含む。

「我々はマイダンの人質となるわけにはいかない。攻撃的な民族的マイノリティを許すウクライナの統一制度は国家全体の再編を選択するよう求めている。ロシアは連邦国家だが、ここではそのようなことは考えられない。ロシアとの国家的・法的つながりを強化し、我々はウクライナの一体性を強化するのだ」

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