三重県北部、多度山(たどやま)の麓にある多度大社。創建は雄略(ゆうりゃく)天皇の御代にまでさかのぼり、古くは「北伊勢大神宮」とも称された。毎年5月4日・5日に開催の例祭「多度祭(たどまつり)」の見どころとなっているのが、石段横の絶壁を駆け上る「上げ馬神事」だ。
「神事の起源は南北朝時代の暦応(れきおう)年間(1338~41年)で、武家や豪族が武芸を磨くことを目的に始めたという説があります。その後、織田信長の兵火にかかり途絶えますが、江戸時代、歴代の桑名城主により復興、御厨(みくりや:神饌を供える地区)を組織し、現在に至っています」と、多度大社権禰宜(ごんねぎ)の杉原将一さん。
上げ馬神事では、7地区の御厨のうち、6地区から騎手それぞれ1人、合わせて6人を選出する。騎手の候補は高校生から20歳くらいまでの独身男性で、4月1日の神占式で騎手に選ばれると、乗馬の練習に励み、厳格に精進潔斎(しょうじんけっさい)を行う。
祭りの当日は、6人の騎手が、4日は1人2回、5日は1人1回、上げ馬を実施する。2日間で合計18回行われるが、人馬ともに絶壁を越えられるのは毎年3分の1程度なのだという。成功してもしなくても、大任を果たした少年たちは、顔つきが変わってくるそうだ。祭事を通して成長する姿こそ、この祭りの本当の醍醐味なのだ。
多度祭 上げ馬神事
<期間>5月4日~5日
<会場>三重県桑名市・多度大社(養老鉄道養老線多度駅下車)
<問>☎0594(48)2037
www.tadotaisya.or.jp
*情報は2015年3月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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