その言葉が軟弱になるということは、文明がそれだけ衰弱したことを意味する。サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』によれば、日本文明は立派に世界八大文明のうちの一つである。その文明が衰退に向かっている証拠は言葉にある。受け身表現がそれである。自信のなさと弱体がそれをものがたっている。
そこから脱出するには能動表現が必要である。先にJR東海がリニア新幹線を自力で敷設すると発表した。これが能動の典型である。採算があうかどうか、国民的支持が得られるかどうかなどと逡巡しているのではなく、断固として発表したその英断は賞賛にあたいする。こういう開拓者魂こそが時代を切り開き、時代を動かすのだ。軟弱にひたりきった日本に一つの希望をもたらした快挙である。現代における武士道とはこういう決断をいうのである。
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