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2015年7月1日

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小林美希 (こばやし・みき)

労働経済ジャーナリスト

1975年生まれ。株式新聞社、毎日新聞エコノミスト編集部を経て2007年2月からフリーのジャーナリスト。「ルポ看護の質〜患者の命は守られるのか」「夫に死んでほしい妻たち」(朝日新書)、(岩波新書)「ルポ保育崩壊」(岩波新書)と「ルポ母子家庭」(ちくま新書)「ルポ“正社員”の若者たち」(岩波書店)、「看護崩壊」(アスキー新書)、「ルポ職場流産」(岩波書店)、「ルポ産ませない社会」(河出書房新社)など

 これらに当てはまらなければ退園となり、育児休業が明けた時に改めて、きょうだいの保育所入園を申請することになる。その際、大幅に加点して優遇をするものの、再び入園できる保障はない。もともと待機児童が多い0~2歳頃の時に退園すれば空きはすぐ埋まり「席」の確保の可能性はゼロに等しくなる。

 市のホームページで公開されているQ&Aには、「保育の継続事由」となる「在園時の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが必要と認められる場合」の具体的な回答として、家庭での保育環境等の状況を聞き、配偶者や祖父母などの支援が望めず、孤立した保育環境になる、出生児の保育だけでも保護者の心身の負担が相当程度に大きいと見込まれる場合などを想定、としている。

地域のなかで子どもを通じた付き合いがない

 女性が孤立した保育環境で過ごすケースは決して少なくない。ベネッセ次世代研究所の「妊娠出産子育て基本調査」では、2006年と2011年で妊娠期から2歳までの子どもをもつ夫婦を対象に、子育ての意識や行動などについて調査を行っている。

 「地域の中で、子どもを通じたおつきあい」について、2006年と2011年を比べると、「○○ちゃんのことを気にかけてくれる人」が「1人もいない」は、妻が15・5%から21・9%へ、夫は24・8%から33・6%に増加している。

 また、「子ども同士を遊ばせながら、立ち話をする程度の人」が「一人もいない」妻は25・6%から34・3%と10ポイント近く増えている。夫は同51・8%、56・3%と半数以上という状況だ。

 さらに、同研究所の「首都圏・地方支部ごとにみる乳幼児の子育てレポート」(2010年9月)では、0~2歳児の子育て夫婦を調査。そのなかで、「平日に自宅で子どもと母が2人だけで過ごす時間」を尋ねており、0~2歳児をもつ母の22・1%が15時間以上と答えた。

 首都圏の0歳児を見ると、15時間以上という回答は30%に上り、3人に1人が1日のほとんどを母子のみで過ごしていることになる。「10時間~15時間未満」も34%で、合計で6割もの母子が長時間、二人きりで自宅で過ごしている。

 乳幼児の子がいる女性に取材を重ねると、「父親がいても自分ひとりきりの子育てで疲労困憊し、虐待寸前」、「ささいなことで子どもを怒ってばかり」、「子どもを2人、3人欲しいが、この状態では一人で精いっぱい」という声が、意外なところで専業主婦から多く聞こえてくる。

 1~2歳頃に特有のイヤイヤ期に入る時期に弟や妹ができてジェラシーを感じ、荒れてしまう子も多い。「赤ちゃんの夜泣きで睡眠不足のなか、上の子のイヤイヤ期でうつ病になる寸前だった」という母親も少なくない。

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