「今回の交流マッチがモデルケースになってくれたらいいと思っています。もちろんラグビーに限らず、どんな競技でも外部の方たちが施設に入って、少年たちと直に接してほしいのです。社会に新たな不幸を生まないためには、再犯を抑制しなければなりません。それはより良い社会を築くために我々一人ひとりに課せられた課題でもあると感じています。
こうした活動を通じて地域社会に理解者が増え、協力雇用主が増えて、少年たちが社会復帰できる機会に繋がってくれることを願っています」
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本稿を締めるにあたり、2009年11月から水府学院で上田昭夫氏や筆者と共に講師を務めている武蔵野東高等専修学校の教育統括部長 天宮一大氏が、本年2月の第1回交流マッチ後に書かれた随想をご紹介したい。
読者の皆さんにはどんな光景が目に浮かぶでしょうか。
キラリと輝く少年の目は、数時間前とはまるで別人だった。
彼はボールを持って縦横無尽に走り回る。
長い手足は躍動感を持ってフェイントをかけながら、
ひらりひらりとタグをとろうとする相手の手をかいくぐる。
トライをして自慢げに振り向くと、同じチームで彼にパスをした少年に
目で合図を送っている。その少年も気がついて手をあげて反応した。
まるでそれは息の合ったラグビーチームそのものだ。
少年たちは水府学院という少年院で更生学習と社会適応のための体験を繰り返し行っている。
ここに至った経緯はそれぞれ違っている。その彼らにタグラグビーを指導した。
制約が多いスポーツであるラグビー。先ずは前に投げてはいけないという理不尽極まりないそのルールを遵守しなければいけない。