7月に入り、美味しそうなウナギの蒲焼きのポスターやのぼりを目にすることが増えた今日このごろ。土用の丑の日を迎える24日前後には、「ひとつ鰻重でも」と考えている読者も多いことだろう。
だがウナギといえば、一方で資源の枯渇が叫ばれ、この1、2年ではさらに、中国産ウナギ蒲焼き商品の多くに絶滅危惧種に指定されているヨーロッパ種のウナギが使われていたといった報道も。店頭の蒲焼き商品に対して、産地だけでなく品種を自主的に開示するスーパーも出始めるなど、にわかに販売側の変化も出始めている。
こうした変化の影に一人の男がいる。市販のウナギの蒲焼きを片っ端からDNA検査し、結果を公表している北里大学海洋生命科学部の吉永龍起准教授だ。ウナギ研究者の中でも「異端児」の彼がなぜ蒲焼きの調査をしようと思ったのか。続ける理由とは。丑の日を前に話を聞いた。
Q:いつから市販のウナギ蒲焼きのDNA検査を?
――2011年から行っています。初年度はサンプル数がピース単位でわずか28検体でしたが、今年は1シーズンで170検体の商品を調査しました。商品は主にスーパーや牛丼チェーンを中心に、中国産の商品で実施しています。
Q:検査はどのように行うのか?
――まず買ってきた商品の写真を撮り、重さを測り、背開きかどうかなどウナギの捌き方を確認したうえで、人が触れていないと思われる部位の蒲焼きの身を、2、3ミリ角の大きさにカットし、PCRという遺伝子解析の手法を用いてDNAの配列を確認します。そして、世界で19種亜種が確認されているウナギのDNA配列と照らし合わせて、商品にどのウナギが使われているのかを確認します。ひつまぶしなど、蒲焼きの切れ端がたくさん入っている商品の場合、1つの商品の中に複数の品種のウナギが混ざっていることがあるので、ピースごとに検査しています。