2022年7月2日(土)

Wedge REPORT

2015年7月17日

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Q:2013年から一気に新聞やテレビ、雑誌などメディアに出るようになりましたね

――そうですね。塚本先生や青山潤先生など、ウナギの研究で有名な先生方がメディア取材を受けた際に自分のDNA検査のことを話してくれたみたいで、次々、取材の依頼が入るようになりました。ニホンウナギがIUCNのレッドリストに登録された2014年は最もすごくて、レットリスト登録の6月から、国内の池入れ規制が発表された秋にかけて、新聞やテレビ、雑誌の取材が50件近くありました。あまりにも自分では意図しない展開だったのですが、とにかく、来るものは拒まず受けようと思って受けていました。

 2013年のシラスウナギ(稚魚)の不漁で資源保護が大きく叫ばれるようになる中で、塚本教授からも、「これからは、ただ単に研究用にウナギを使うだけでなく、保全の観点も持ちながら、研究者も研究や情報発信をしないといけない」と言われていたことも、取材依頼を受け続けた理由でした。

 ただ、取材は受けても、顔だけは出すまいと思っていたのに、とうとうテレビにも出てしまって。親は喜びましたが、自分としては複雑でした。

Q:もともとはウナギの研究がメーンではなかったんですよね?

――そうなんです。最初に入った大学は海のない信州大学で、大学ではヒツジの繁殖の研究をしていました。修士課程が終了する際に人生を真剣に考えて、このままではいけないと思い、ご縁があって紹介された東大の塚本教授のウナギ研究室に入れていただきました。塚本教授の勧めもあり、なぜ魚の資源量は増えたり減ったりするのか、魚の寿命はどうやって決まるのかという観点からワムシという魚の餌の一種である動物プランクトンの研究を行っていました。

 ウナギは塚本研究室の一員として趣味程度で調査の手伝いをする程度でした。たまたま塚本教授が世界で初めてウナギの卵を見つけた船にも乗っていて、その後、発見時のドラマを描いた本の執筆にも加わらせていただきましたが、あくまでも趣味としてのウナギ研究でした。

 被災後に相模原にキャンパスが移転し、ウナギ研究者との交流が増えたこともあり、ワムシ研究時の遺伝子解析手法を用いてウナギ蒲焼きのDNA調査を行ったことで、いまメディアからウナギ全般について取材されることが増えたのですが、いまでもウナギの研究者として紹介されるたびに、研究の本流にいる先生方を思うと、自分が出ていいのだろうかと逡巡します。

Q:ただ、先生のDNA調査によって、業界では常識だった中国産・格安ウナギに絶滅危惧種指定のヨーロッパウナギが使用されていることがこの数年で一般にも知られるようになった。そうした自分が行ってきたことに対する自負や手ごたえもあるのでは?

北里大学・吉永龍起准教授の研究チームが行った中国産蒲焼き商品のDNA検査結果。(nはサンプル商品数)
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――いえ、そうは思っていません。確かに今年になって、中国産ウナギ蒲焼きの材料からヨーロッパウナギが姿を消しているといった変化は起きていますが、背景には、スーパーや商社が、同様にDNAの検査結果を公表した環境保護団体の目を気にしているからだと思います。ワシントン条約による輸出規制の効果も出てき始めたのだと思います。

 2014年にニホンウナギが取れたこともあり、今夏はたまたま中国産蒲焼きの材料がニホンウナギに切り替わったようですが、来年はどうなるか分からないですよね。またヨーロッパウナギを使った中国産蒲焼きに戻っているかもしれない。

 今年、初めて5年間の調査をまとめてみましたが、改めて、ヨーロッパウナギからニホンウナギに切り替えている様子が分かりました。科学的な調査としては検体数や手法など穴もありますが、マーケットの動向を見るうえでは十分な資料だと思います。

 検査では、取り違えがあってはいけないので、役割分担や流れをきっちり院生らに指導しながら行っています。調査結果に疑問を抱いたときのために、サンプルを再調査用に保存していますが、再調査をしてみて当初と違う結果が出たことはありません。今後は、これまでの調査結果を論文にまとめたいと思っています。

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