“成婚率”は1~5割程度
また、成婚率はどうかというと、大手ほど「本当の数字」をあまり出さない……というよりも、出しづらい面があるのだろう。というのも、分母が多いほど、「実際に結婚したのかどうか」を追跡しづらいなどの不確定要素が増えていくからだ。
そこで、私は個人で結婚相談所を行っている人と数十人の中規模の相談所数社に改めて取材した。その感触で言うと、「相談所における成婚率は、1割から4~5割程度」というところだろうか。幅があるのは、相談所や担当相談員によってかなり違うので、平均値を出すのがはばかられるのと、成婚率が高いところは入会者に制限を設けているという事情を知っているからだ。たとえば、女性を20代に限定したり、男性に高収入を求めたり、相談員が面接をして「すぐに結婚できそう」と思われる人のみに入会を許可したり……。
いずれにしても、成婚率が低ければそれだけ、婚活をする期間は長引く。
そのためなのか、その結果なのか、「結婚するためのサービス」は、どんどん進化し続けていて、前述のように安価でおおぜいの異性を紹介してもらえるようになった。この進化は、今後も続いてゆくのだろう。
“普通”で満足できればよかった……
そんな中、“優位な”立場にある佐久間さんでも、結婚が決まらない。
「それは選んでいるからじゃないか?」と思われるかもしれないが、ではなぜ彼は 「選んでしまう」のか。そして、彼だけでなくおおぜいいるはずの「選んでしまう」人たちは、どうして「選ぼうとしてしまう」のか?
「ボクなんて、本当はごくごく普通の人間なんですけどね……」
楽しそうに話すカップル客を見ながら、彼はためいきをつくように言った。
「どういう意味ですか?」と聞くと、
「ボクなんて、本当に普通の人間なんですよ。周りの人たちが優秀なだけで……。中高の友人や先輩や後輩たちを見ていると、みんな華々しく活躍しているし、素晴らしい結婚をしている……。ボクは、親がたまたま進学校に行かせてくれたけど、本当は普通の人間だと自分でもわかっているんです。だから、心は普通の人間なのに、同級生たちを見ていると『これじゃダメだ』と思う自分がいて……」