出典:Kevin Rudd & Ajay Banga‘Bring India Into APEC’(Wall Street Journal, July 8, 2015)
http://www.wsj.com/articles/bring-india-into-apec-1436373287
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この論説の趣旨は適切です。インドはアジア第三の経済大国でありながら、有力な地域経済協力機構に属していません。属しているのは「インド洋地域協力会議(IOR-ARC)」ですが、これは重要な機構ではなく、国際経済では、インドはいわば孤立しているといっても過言ではありません。
したがって、インドがAPECに加盟することには意義があります。APECが国際通商の促進にどの程度の役割を果たしているのかは疑問ですが、インドにとって、有力な地域経済協力機構の一員になるということのほかに、規制の見直しを迫られるというメリットがあります。インドの制度的問題は規制の複雑さです。論説の言うとおり、通商に関しても現存の規制体系を変えない限り、国際通商の流れから取り残されてしまう恐れがあります。
他方、APECが実行している最も重要なことは、規制についての情報共有であるといいます。インドがAPECに参加すれば、インドは自国の規制につきAPEC加盟国に説明し、他の加盟国との規制の調和を図るべく努力する必要が生じます。これはインド経済の一層の国際化、インドの通商の促進にとり、歓迎すべきことです。
インドは何かと中国と比較されますが、国際経済における重要性では中国に一歩も二歩も遅れをとっています。この遅れを取り戻すためにもAPEC加盟は意味があります。それはまた日本にとっても中長期的に好ましいことです。
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