舞の追及に小見山は、白状する。しかし、こう抗弁する。
「銀行のためにどのくらい働いて、どのくらい利益をあげたかわかっているか。それなのに、同期に出世で抜かれて、支店長にもなれずに」と。
舞の決め台詞があって。ストーカーを装った隠ぺい工作に対して、「人間としてやってはいけないことです」と。
現代の企業では、ドラマのように上司がストーカー行為に対して、事なかれ主義を貫くのは問題視される。銀行の内部で支店の融資課長が、親族の幽霊会社に振り込みを誘導する事件は、ちょっと考えにくい。
しかし、ドラマには、企業の官僚体質と出世競争を描くには、こうした「戯画」は必要である。観客もそれをわかったうえで、銀行の内部をのぞいた気分になると思う。
日本企業の内部に潜む根深いハラスメントを
明らかにする「エイジ」
「エイジ」第4話(7月30日)は、海外勤務から花形の繊維1課長に就任した、小田みどり(森口瑤子)が巻き起こすハラスメント騒動に、英美里が立ち向かう。
小田は、一般職を徹底的に差別する。総合職にも容赦がない。「成果主義」の権現である。耐えかねたふたりの一般職が、小田のパソコンを隠す事態となる。
英美里は上司の総務課長の大沢百合子(稲森いずみ)に相談したうえで、小田に知られないように一般職からパソコンを取り戻そうとする。英美里に土下座を要求するふたりに対して、ヒールを脱いでひざまずく。「これも給料のうちですから」と。
小田のハラスメントは止まない。