“おせっかい”が未来を作る?
確かに、お見合いのアポを取るなどの連絡はラインを使った方が早くなるというメリットはあるだろう。しかし恋愛相談もとなると、いったいどれくらいのやりとりを毎日することになるのだろう。
なんせ、山本さんのように人気のある相談員さんたちは、たいてい、一人で20人くらいの会員さんを抱えているのだ。
しかも恋愛相談と言えば、深夜になりがちと相場は決まっているし、ラインの特性を考えたら、相談をした人は「すぐに答えてほしい」と思うはずだ。
事実、「朝の5時まで恋愛相談に乗っていたこともある」という相談員さんもいたほどで、それは「珍しいことではない」という。
そう考えると、お見合いの仲介業とは、「私、コイバナが好きなんです」(山本さん)と言えるような人や、「おせっかいだと思いますね」(某相談員さん)と人情家を自称するような人でなければ、やっていけないのかもしれない。とはいえ、こうした“おせっかい”は昔から、女性の得意とするところではあるが……。
朝8時に始まった会は、11時過ぎに解散した。
参加者たちは、「これからお見合いに向かいます」「2回目のデートです」などと口にして、華やかに立ち去って行った。
爽やかな彼女たちを見ていて、「今どきのお見合いは、本当に恋愛と変わらないのだなあ」という思いを強くした。
そう思うにつけても、山本さんのような力のある“伴走者”たちの存在が、今後の未婚者たちの“絆”作りを支える鍵になるかもしれないとも感じた。
私も帰ろうとして玄関に向かって歩き始めると、「ちょっといいですか?」と話しかけられた。顔を上げると、泣き腫らしたような顔をした女性が、私をじっと見つめている。
彼女も朝活の参加者だったと思い出した。
しかしお嬢様ルックをしていたほかの参加者たちとは違い、ラフなTシャツに長めのスカートを合わせたカジュアルな“なり”である。
(そういえば、この人は婚活初心者だと言っていたっけ?)と思い出していると、
「私、失恋したんです。ぜひ、話を聞いてください‼」
そんな彼女を放っておけなくて、近くのソファーにいざなうと、ノートを開いて、話にじっと耳を傾け始めた。
⇒第3回に続く。
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