World Energy Watch

2015年8月11日

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石炭火力がオバマの悩み

 08年の大統領選では、オバマは環境ビジネスによる500万人の雇用創出を掲げたが、オバマのペットと呼ばれ、連邦政府から5億3000万ドルの融資保証を受けていた太陽光パネル企業ソリンドラ社が破綻するなど、環境ビジネスは思うように成長しなかった。

 2期目のオバマは、環境ビジネスではなく、輸出振興による雇用創出に触れることが多くなり、中国、台湾製太陽電池の輸入に対しては不当廉売による課税を通し米国市場を守る姿勢を見せた。その一方、気候変動、地球温暖化が人為的な活動により引き起こされていると97%の科学者が同意している以上、温暖化問題に取り組むことは喫緊の課題と13年の半ばから温暖化問題への本格的な取り組みを開始する。

 米国では、国内に豊富にあり価格競争力もある石炭が発電の主流だ。図-1の通り、シェール革命により価格が下落した天然ガスによりシェアを失っているが、依然として、石炭が最大の発電源だ。


石炭は化石燃料のなかでも、二酸化炭素の排出量が相対的に大きい。天然ガスの2倍近くある。石炭の使用量が多い米国では、エネルギー起源の二酸化炭素排出量54億トンの約32%を石炭からの排出量が占めている。そのうち、92%は石炭火力からだ。要は、全体の29%、約16億トンが石炭火力から排出されているのだ。

 米国が温暖化対策を進めるには、石炭火力からの排出量を削減するしかない。オバマは、共和党のロムニー候補と争った2期目の大統領選では石炭産業支援を打ち出していたが(「オバマとロムニーの石炭戦争」12年10月17日付、本連載)、選挙後は、CPPを打ち出し、オバマへの石炭への戦争と呼ばれるほど、石炭火力へ厳しい姿勢を見せている。

オバマの石炭火力への戦争

 議会の協力を必ずしも得ることができないオバマは、議会の賛同なくして石炭火力からの二酸化炭素の排出量を削減するために、発電所からの有害物質の排出を規制する環境保護庁(EPA)の大気浄化法を利用することにした。13年6月に発表した気候変動対策に基づき、EPAに新設及び既存火力発電所からの二酸化炭素排出抑制案の作成を指示する。

 EPAが13年9月に発表した新設火力発電所からの二酸化炭素の排出量に関する規制案では、石炭火力新設時には、二酸化炭素を補足、貯留する装置が必要になるほど厳しい数字が打ち出された。経済性の面から石炭火力の新設は困難になると思われている。

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