2024年7月14日(日)

田部康喜のTV読本

2015年8月18日

 第1話では、中小企業の自助努力を強調する発言をしたあまりに、反発を受けた経済産業大臣に対して、翔はじっくりと話を聴く。その結果、経済産業大臣は、友人の中小企業の経営者を亡くして、それを受けて中小企業を励まそうとした発言だったことがわかる。

 翔は、総理の囲み取材で、発言の真意を涙ながらに訴えるのであった。父親の武藤は更迭止む無し、という判断だったが、翔が留任させたことのほうが世論を高めた。

 第2話では、希少金属の輸入を図るために、訪日要請にこぎつけた外国の大統領に対して、翔の接待が不調に終わろうとした瞬間、こぼした酒の跡をふいたハンカチにあしらわれていた、アニメのキャラクターが大統領の気持ちを変える。難民キャンプに暮らしていた40年前、そのキャラクターがついたTシャツに励まされたのである。

 翔は、アニメのテーマソングとダンスを披露するのだった。

 「民王」は人格交換が起きた、二組の男女が交錯するという、新しい趣向によって観客をひきつける。第3話に至って、大学生の翔となった武藤が、女子大生の村野エリカ(知英)の一人暮らしの部屋に誘われて、口づけをしようとする瞬間に、かわされる。

 「おじさんくさい口説き方ね」

 そして、自分が武藤の政敵の倉本と人格転換していることを告げるのだった。

 「オンナミチ」は、タイムスリップ物のパラドックスに一見、反しているようにみえる。同じ瞬間に現在や過去、未来の自分自身が同時に存在することはない、というものである。

 しかし、山口梨花(片瀬那奈)の20年後のおばちゃん(渡辺えり)はひとり寂しく死んだことになっている。登場しているのは、魂だと考えればパラドックスには触れない。

 ただ、おばちゃんは過去を変えようとして、現代に現れようとしている。一般的なタイムマシン物では、いくら今を変えようとも未来は変わらない。未来にいきつく筋道が変わるだけである。

 スレンダーな片瀬那奈と、20年後のでっぷり太って大阪弁の渡辺えりの、掛け合いが面白い。

 片瀬の携帯が鳴るたびに、その内容を告げて断るように進めるのである。元カレの口癖は「もう一度チャンスをくれ」である。

 バーテンダーになる専門学校に通う月謝の前借を頼んだり、会えばバッグからカネを抜き取ったり、ダメ男から逃れられないアラサーの女を片瀬那奈が好演している。

 ファッションモデル出身で、俳優や歌手ばかりではなく、最近は司会もこなす片瀬は、意外にも今回がドラマ初の主役である。

 「民王」も「オンナミチ」も、深夜帯のしゃれたコメディーである。
 

  
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