しかし最近の研究によれば、日本に来た時、鑑真はまだ目が見えていた。鑑真の目が見えなくなったのは最晩年のことである。
そうであれば、この歌詞は、結果的に、現実の鑑真を歌っていたことになる。鑑真はあの肖像のように、目を閉じて、瞑想する。愛弟子の祥彦(しょうげん)や、日本へ招いた栄叡など、苦難の日々のなかで、自分よりも若くして死んでいった人々のことを、鑑真はいつも思い続けたに違いない。そして、哀しくて目をあけた時、鑑真の目は、たとえ鮮明ではなくとも、中国で仰いだのと同じ美しい月が、奈良の夜空に皎々と輝くのを見たのではなかったか。
■「唐招提寺 讃仏観月会」
日時:2009年10月3日(土、中秋名月) 午後18時~21時
会場:唐招提寺 御影堂宸殿(奈良市五条町13-46 電話0742-33-7900)
拝館料:入山無料、御影堂は500円
■「入江泰吉 唐招提寺」展
会期:開催中~9月27日(日)まで
会場:奈良・入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町600-1 電話 0742-22-9811)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
拝館料:一般500円、大・高生200円、中・小生100円(小・中・高生は土曜無料)
休館日:月曜〔月曜が祝日の場合は最も近い平日〕、祝日の翌日〔その日が平日である場合〕、年末年始、展示替え期間
*次回更新予定日は、10月2日(金)です。
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