2024年11月21日(木)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2015年10月9日

日本が米国軍用機の「最良のお得意さん」

 さて、今回の国際チタン会議でもう一つ気になる発表があった。アメリカの軍需産業について”Driving Market Growth Through Innovation”なるタイトルでクリーブランドのAlcoa Defense社のRoegner社長がプレゼンをした内容である。米国防衛産業における「イノベーションを通じたチタン市場の成長」という内容である。

チタン会議のプレゼンにて。武器購入を進めている国として日本も挙げられている

 この発表の中では我が国日本が防衛産業(特に軍用機)の重要な市場としての位置付けにされているのに驚いた。プレゼン資料に示された防衛産業の重点市場がエジプト、アフガニスタン、カタール、クエート、インド、に加えて日本が軍用機の発展市場と認識されているという発表であった。

 発表の内容を聞くにつけて平和産業であるチタン市場分野が一般航空機産業よりも、より軍用機の発展に注力している内容に危惧を感じたのは私だけではなかったと思う。

 今回の安保関連法案の成立直後に、チタン会議に参加したためにアメリカが日本の防衛産業をどのように見ているのかが気になっていた矢先のことである。日本の集団自衛権の閣議決定が何らかの形で米国の軍需産業に資することは当然だが、日本が軍需産業のお得意さんとしてアメリカのチタン業界では認識されており、このような形でチタン産業の関与を示されると長年にわたりチタン産業に関わってきた私としては複雑な気持ちである。

 アメリカの景気はシェールガス・シェールオイル景気に支えられているが、来年の大統領選に向けていろんなプロパガンダが繰り広げられている。オバマ政権の在職中にはこれといった成果が無いだけに置かれた立場は複雑である。特に最近になって来年度の大統領選の候補者らがオバマ外交を「弱腰」と批判されるのを避けるために、南シナ海の中国との対立姿勢は強気を演出している。

 つい最近も米軍機と中国の戦闘機が中国領海で異常接近するなど一触即発の危険性もあったが、今後の米中関係は決定的な対立を避けるべく双方の着地点を見いだせるかが問題となる。ウクライナ紛争から始まったロシアへの経済制裁や、イスラム国家やベネズエラを含む産油国への原油価格の下方誘導やシリアへの空爆も何か不自然な動きに感じてならない。


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