Wedge REPORT

2015年12月3日

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 「求人倍率は上がり基調。大手企業が今年、3月から5月にかけて会社説明会の回数を増やしたが、来年の採用熱は更に高まる可能性が高く、競争は激化するだろう」

 また、本来ならこの時期になれば来年度の採用戦略を考えていなければならないが、多くの中小企業は現在も今年度の採用活動を続けており、準備不足のまま来年度の採用時期に突入してしまう。中小企業は来年、どのように大手企業に戦いを挑めばよいのか。今年の戦線をうまく乗り切った中小企業からヒントを探ってみよう。

成功した中小企業はここが違う
「狭く・深く」刺さる採用手法を

 (1)ナビサイト頼みをやめる

 葬祭や墓石販売の、メモリアルアートの大野屋(東京都新宿区)は、例年、エントリー数に比例し面接の手間だけが増えていたことから、今年はナビサイト費用を半分以下にした。会社説明会も大型会場をやめ、10人程度ずつ社員と対話する方式にした。「ナビサイトを使えば多くの学生にエントリーしてはもらえるが、本当に葬祭業をやりたい学生を集めるのは難しかった」と佐藤宣明総務部長は語る。学生1人当たりの接触時間を増やした結果、上位の国立大学等、例年にも増して優秀かつ意欲的な学生を採用できたという。

 (2)学内セミナーに注力する

 建築資材卸の浜屋ガラス(東京都新宿区)は3年前から大学に足を運び学内セミナーに出展し始めた。広報期間を例年の半分にした一方、昨年の9人から18人(うち8人が学内セミナー出身)と2倍の人数を採用できた。予算も昨年の8割程度に収めた。

 「学内セミナーに出展し始めるタイミングがもし1年遅れていたら、今年も失敗していたかもしれません。まず採用担当を設け、大学に足を運ぶことが大事。予算はかかりません」(藤井洋太マーケティング部主任)。

 建材の開発・輸入・販売のエービーシー商会(東京都千代田区)は、17人採用予定のところ20人採用できた。山本みどり総務部人材開発チーム課長は15年前から大学に足を運び、関係を構築していったという。

 「合同説明会だけでは知名度のない中小企業はなかなか大手に勝てません。それに比べて学内セミナーは大学のお墨付きを得ているので学生にも受け入れられやすい」

 ただし、学内セミナーは既に盛況で、来年はさらに激しい席の奪い合いが予想される。ソフトウエア開発等を手がけるアルファメディア(神奈川県川崎市)の小湊宏之社長は「今まで学内セミナーに呼んでくれていた大学も、大手企業を優先して来年は当社に声を掛けてくれないかもしれない」と不安を隠さない。とはいえ、未来を見据えて今から一歩踏み出す必要があるだろう。エービーシー商会の山本課長は「就職課の担当者に認知してもらうまで5年かかりました」と教えてくれた。

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