「何だよ、揃いのTシャツなんか着てさ。気合い入り過ぎなんじゃないの?」
バディスポーツ幼児園、4年前の運動会。その時、息子が年少々(年少より1年小さい年次)に在園していた私にとって、初めてのバディの運動会であったが、揃いのTシャツを着て子供達を、そして自らが参加する父母リレーを応援する年長クラスの保護者の姿が、あまりにも熱が入りすぎて少し異様に見えた事を今でも鮮明に覚えている。それから4年。息子も年長に成長し、今日は晴れの運動会。そしてそこには年長クラスの父母で揃えたTシャツに身を包み、子供をそして父母リレーに参加する仲間に声をからして応援する自分の姿があった……。
こんにちは。桂木麻也です。
M&Aのアドバイザリーファームに勤務のかたわら、月刊WEDGEで「The BIG DEAL 激白!投資銀行」というコラムを書いているが、今日は趣向を変えて子供の教育論について考えてみたい。
かけっこで順位をつけることはダメなのか?
さて唐突だが、皆さんは幼稚園の運動会でかけっこの順位をつけることに賛成だろうか、それとも反対だろうか。
反対派の主たる主張はこういうものだ。
「走るのが遅い子が、親や友達の前で明確に順位をつけられるのが酷である。もっと大きくなれば、勉強ができる子、ピアノが上手な子、という風に個人の能力の発揮の場がある。ただし幼稚園では、勉強や習い事の習熟度が低く、才能を発揮するにはまだ早い。ただし、かけっこだけは明確にその差異がつくものであり、それが得意な子だけが晴れの舞台で評価されるのは不公平である。運動ができない子の気持ちを考え、幼い子供の心に傷をつけないように大人は配慮すべきである」
実際、運動会でかけっこをしない幼稚園があると聞く。かけっこをしても、スタートからある距離までは各自全力で走るが、いったん止まり、そこでみんなで手をつないでゴールさせるという方式を採っている園もあると聞いたことがある。このような幼児への「配慮」は本当に大人としてすべきことなのだろうか?
私が他の父母達と揃いの応援Tシャツを着て臨んだ運動会。バディスポーツ幼児園における最大のイベントの1つだ。バディは35年前に世田谷区上北沢に園児4人、職員4人で産声を上げたスポーツ教育を柱にした幼稚園である。
10月6日のフジテレビ「バイキング」や11月6日の日テレ「ミヤネ屋」などで相次いで紹介されたのでご覧になった方も多いであろう。メディアで相次いで取り上げられるほどに注目を集めているのはなぜであろうか。
メディアが絶賛するのは、なんと言っても園児達の運動能力の高さ。テレビの放送でも、器械体操やランニングで幼稚園児離れした運動能力をもつ子供達が紹介されている。OB・OGもそうそうたるメンバーいる。公務員マラソンランナーの川内優輝氏、サッカー日本代表でブンデスリーガ・マインツ所属の武藤喜紀氏、同じく日本代表でFC東京所属の丸山祐市氏、なでしこ日本代表の村松智子氏、女子フットサル日本代表の横山純子氏などなど。また、NHKの連続テレビ小説『まれ』でおなじみの土屋太鳳氏もバディ出身で、まさにバラエティ豊かなタレントを輩出している。
加えて、有名大学への進学率も高いことから、文武両道としてバディの人気は年を追う毎に高くなり、設立35周年の世田谷校に加え、横浜校(設立15年目)、江東校(同13年目)、豊洲校(同6年目)、八王子東校(同8年目)、はるひ野校(同9年目)、長津田校(同7年目)など、東京・横浜に7校、園児数約2000人を擁するまでに成長した。
実際、バディでは通年で様々なスポーツを学ぶ。陸上、サッカー、ポートボール(バスケット)、器械体操、スイミング、スキー、スケート。陸に、水に、雪山に、そして個人競技にチーム競技にと子供達は様々な特性を持つスポーツを学んでいく。また通年授業の他に、サマーキャンプ、運動会、スキー合宿という大きなイベントが年に3回ある。
スキー合宿はその名の通り2泊3日のスキー合宿である。年少の冬から始まる。親がスキーをやらないような家では、バディの合宿で初めてスキーを経験することになる。重いスキーを履いて身動きが取れない辛さと、いったん斜面に立てばスピードが出てコントロールできない恐怖から号泣する子が多い。しかし最終日には年少のほとんどの年少の全員が滑ることができるようになる。年中ではフォームを磨き、年長では園対抗のレースを行うまでになる。