サマーキャンプは、やはり2泊3日の日程で山中湖にて行う。年少々の子供達は2歳か3歳。初めて親と離れて友達と寝食を共にする経験をする。入浴も、着替えも、就寝も、トイレも全部一人でこなすことになる。年少、年中も山中湖周りでのハイキングなどイベント盛りだくさんだ。だが、圧倒的にすごいのは年長のプログラムだ。初日は富士山の風穴洞という洞窟の探検。夏でも氷が残りアップダウンの激しい洞窟を約1時間かけて探検する。その様は、野生児を超えて探検家そのものだ。探検が終われば近くの石割神社に向かう。石割神社は石割山の中腹に位置し、境内に行くには400段の石段を上らねばならない。これを一気に駆け上がるレースを行うのだ。翌日は1チーム15人のメンバーで、全園対抗の駅伝リレーを行う。山中湖の周りにコースを造り、短い子で600メートル、長い子で1200メートルの距離を自分のタスキをチームメイトに渡すために懸命に走る。
最終日は富士登山だ。5合目から7合目まで登山する。6合目から7合目は距離が長い。登山道には上りやすいように階段が配置してあるが、段によっては大人の膝ぐらいまでの高さがある。幼稚園児の腰に近い位置である。全身を使って喘ぎながら上っていく。登り3時間、下り2時間の行程で、サマーキャンプのクライマックスである。
真剣勝負だからこそ得られるものがある
そして運動会。かけっこは生まれ月毎に子供達を3つのグループに分ける配慮は行うが、同じグループ入った子供はその中でガチの勝負を行う。年中、年長の走る距離はなんと300メートル。年長の一番早い子供は1分フラットで走り切る。100メートルを20秒で疾走している勘定だ。
きっと貴方よりも走るのが早い。
ひとつのグループの子供の数は30人程度。当然1位から30位まできっちり順位がつく。また一人一人のタイムは100分の1秒単位で計測される。リレーは1人150mの距離を走り、15人がバトンをつなぐ。当然これも明確に勝ち負けがつく。
ダンスパフォーマンスは、学年が上がる毎に難易度も上がる。年長の今年の音楽はソーラン節。個人の振付けのパート、全員が一つに固まって大海原の波を表現するパート、そしてシンメトリーに移動して体型を変えるパートなど見どころ満載だ。年中、年長は組み体操も行う。年長は10人ピラミッドや3段タワーを作る。これらは私が小学校6年生で経験した種目だ。
4年前の運動会。当時の年長クラスの保護者のTシャツにまずやられた私であったが、子供達の運動能力、勝負への執念、パフォーマンスのクオリティーの高さに圧倒された。そして年長まで子供をバディで育てた親たちの熱狂が理解できたのであった。
私がバディのスポーツ指導を見て、あるいは我が子の成長を通して感嘆するのは、正しい指導を行えば子供というのはかくも鍛えられて、素晴しい身体能力を身につけることができるということだ。我が子が運動会で300mを疾走したり、駅伝で1キロ弱を走り抜いたりできるようになるなんて、園児の親達は入園の当初誰も想像できなかったに違いない。バディにいる子供が特殊なのではない。小学校お受験で有名な幼稚園に通っていて、50mを走るのに息を切らしているような子供でも、バディメソッドで鍛えれば翌年の運動会では別人のように疾走する様を見ることができるであろう。