Wedge REPORT

2015年12月3日

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 (3)きめ細かいマッチングを図る

 「大手企業に入っても単なるワン・オブ・ゼムではないかと落ち込む『内定ブルー』学生も最近は多い。『ゆとり世代』の彼らは個性を重視させる教育を受けてきたため、より自分の内面を見てくれているかを気にする傾向がある」(就職みらい研究所の岡崎所長)。だとすれば大量採用の大手企業にはできない手法で差別化を図ればいい。

 例えば、学生への丁寧なフィードバック。浜屋ガラスでは経団連選考開始以降も内定辞退者を出さなかったが、選考のたびに合格した理由、今後の改善点を電話で伝えていたことが大きかったという。「内定してから学生のフォローを始めるのでは遅い。選考の途中も企業は学生に試されています。『この会社で働きたい』と思ってもらうことが必要です」(藤井主任)。それでも入社を迷う内定者には、希望部署の先輩社員に会わせて「1年後の自分をイメージさせている」という。

 「今の学生は『オープンキャンパス世代』と呼ばれるほど何事も自分の目で確かめて選ぶ。『会社を知りたいなら説明会後の人事の会話を聞け』等、先輩からの情報も非常に重視する」と岡崎所長は語る。

 (4)「大手の後」も検討する

 今年の混乱を受け、経団連は選考開始を2カ月前倒し、6月1日とする。大手との競争を避けるために、時期を大手の後とするのも手だ。メンテナンス会社のアイ・ビー・エス(神奈川県川崎市)は今年、会社説明会を8月以降に始めて、8人採用予定のところ現状6人を採用できているという。ナビサイトの掲載も費用が半額になる時期を見越して7月1日からとした。

 「大手の選考が終われば、本当にやりたいことを考えた学生が来てくれる。志望度が高い学生が来るし、費用も節約できるため、逆に効率は良くなった」(矢野智之社長)。

 以上をまとめると、マス向けの広報よりも、中小企業に興味をもちそうな学生に向けて「狭く・深く」訴求することが大切、ということになるだろう。東洋大学の小島貴子グローバル・キャリア教育センター副センター長は「若いうちから裁量をもって働くことのできる中小企業の魅力を学生に伝え切れていない現状はもったいない」と語る。中小企業にとって厳しい売り手市場が続くが、だからこそターゲットを明確にし、「狭く・深く」訴求する戦略を立てていかねばならない。

  
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◆Wedge2015年12月号より

 

 

 

 

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