生きている意味がわからない
フリーランスの福田さんは、今も、毎日自由な時間に起きて、好きなご飯を食べて、好きな時間働いて、そして寝る。
20代のころは「それがいい」と思って、この生き方を選んだ。けれど10年も続けていると、単調過ぎる生活に、嫌気がさすようになった。
「仕事以外では人にも会わず、楽しいこともなく、ただ、起きてご飯を食べて寝る……。僕の生活は、ある意味、安全ではあるけれど、それ以上に何もないんです。自分はなんのために生きているんだろうと感じるようになってきて、女性と知り合いたいと本気で思うようになりました」
焦りと希望の隙間が埋まらない
それが、今から10年ほど前。
ちょうどSNSが流行り始めたころで、福田さんもいくつかのコミュニティに入り、飲み会に参加したりした。
けれど、誰かと付き合うまでには至らず、あっという間に40歳になる。
「40歳を過ぎてからは、いよいよ焦りを感じ始めました」
思い切ってボランティア団体が行っている仲人サービスを利用したこともある。
費用は月会費が1万円程度で、一般に比べると安価だった。でも、その代わり、相手を選べないシステムで、自動的に紹介される相手と会う決まりになっていた。
「ここでは月に2、3人、合計5人くらい紹介されました。アラフォー女性が中心でしたが、ほんと、コリゴリしましたね。年齢もだけど、そもそも好きなタイプでもないから、話したいとも思わなかったし」
福田さんは、女性の年齢には、特にこだわりはないという。ただ、いいなと思う女性が、だいたい30代半ばくらいまでなのだ。
若い女の子がいい理由
福田さんに限らず、男性にはいくつになっても「若い子がいい」という人が多い。
その“理由”は先に書いた通りだが、「なぜ若い子でなくてはならないか」とさらに聞いていくうちに、言われたことが2つある。
一つは、男性ならではの「生理的事情」である。
恋は頭でするものではなく、ある程度生理的にするものだろう。
そして、女性はどんな相手でも受け入れることが可能な面があるが、男性はそうはいかない。
しかも年齢を重ねるにつれて、パワーダウンするのだから、より“好ましい”女性しか相手にできなくなるのは、ありうる話なのだろう。
恋愛の“基準値”がない
もう一つ、「自分には、基準値がない」(福田さん)。
つまり、誰かと付き合ううえでの「イケる」「イケない」という感覚や、「心が通じ合える」感覚の経験がほぼないというのだ。
実際、福田さんの恋愛経験は、先に書いた通り、30歳で止まっている。前回取材した正岡さんは、おそらく女性とちゃんと付き合ったことがない。
さらに言うと、今回取材した10人余りの男性たちのうち、女性と付き合ったことがある人は半数以下で、付き合ったことがある(と言った)人たちでも、30歳前後以降は誰とも付き合っていないという人たちが多かった。