2022年8月15日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年12月8日

»著者プロフィール

 

日系コネクターメーカー総経理

 次に日系コネクターメーカー総経理の話。

 1. 中国のコスト高で、今年から各製品メーカーの製造ラインがタイと日本に移りつつある。タイは人件費が中国の半分位でコスト面で有利、日本はお客様との技術仕様、スペック面の詰めが容易で、物流コストを入れたら安くなることもある。こうしたメーカーは、仕向け先(売先)重視で生産拠点を選定しだしており、中国は、世界の工場ではなくなって来ている。

 2. とはいえ、当社では、中国国内企業向けの販売を増やし、全体の売り上げは増やしている。回収面も社内ルールに基づき当初は基本前金でやっているので問題ない。2年目からは少しずつ条件をよくしてやってあげているので、これで納得してくれれば直取引を開始する。条件が噛み合わない場合は代理店経由での取引としている。

 3. 電子部品分野では、中国コネクターメーカーはまだまだ技術的に日本のレベルに追いついていない。コネクターも、製品に合わせ年々小型化・高速伝送化しており、日本製は最少ピッチが0.25ミリまで進んでいる。機能設計面でもフローティング機能など開発技術が追い着かず難易度が高いものもは作れない。日系メーカーでも3社~4社程しか開発出来ていない。

 4. 中国企業は、基本的に外国メーカーが開発し成熟した技術を真似ているだけで、独自で開発する技術を持っていないし、また人材の流動が激しく社内に技術が蓄積出来る構造となっていない為、なかなか日本企業に追いつくと言う所まではいけない。基本付加価値の低い製品では中国メーカーと競合するが、全体としてまだまだ日本メーカーの脅威というほどにはなっていない。その証拠に電気業界でドイツやアメリカ・日本が開発した商品市場は多々あるが、中国メーカーが開発した商品市場はまだない。

 5. 日本の電子部品メーカー(コネクターメーカーも含め)は、アメリカ、欧州など始め中国も含め製品メーカー様の物作りを支え、裾野広く浸透して販売を伸ばしている。独自開発技術の有る部品メーカーは中国の景気後退局面下でも業績を伸ばしている所が多く有る。

 なるほど、この分野では、まだまだ日本の産業界の優位性はあるということのようだ。中国においても、産業のかさ上げは徐々に進んでいるのだと思うが、印象としては、中国企業は、うまい(利益率が高い)、早い(早く回収できる)、大きい(大きな投資額で大きな規模が取れる)投資には、積極的な印象で、確かにこうした分野でダイナミックに成長している分野もあるが、コツコツと技術を積み上げる分野には、まだまだ目が向かないのか。

中国が盛んにいう産業の高度化(産業昇級)は、こうした技術の積み上げがないとなかなか実現しないのではないではないか。中国経済が伸び悩んでいるのもまさにこの点に根があるのかもしれない。そうした意味で、日中の産業界は、お互いに住み分けの仕様、提携の仕様があるのだと思う。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る