11月30日から12月11日までフランス、パリで開かれた国連気候変動パリ会議。最終日には世界195カ国が「地球温室効果ガスの削減」に合意する、という協定に調印した。
全米8番目都市の“再生可能エネルギーシフト宣言”
その翌週、米カリフォルニア州サンディエゴ市が、「20年以内に市で使用するすべてのエネルギーを再生可能のものとする」というなんとも大胆な発表を行った。
サンディエゴは人口規模などから全米8番目の都市である。もちろん、100%の再生可能エネルギー採択都市としては全米最大となる。ニューヨーク、サンフランシスコなども「できる限り再生可能エネルギーにシフトする」と宣言したものの、100%というのはサンディエゴのみだ。
一体このような試みは可能なのか。サンディエゴ市では、まず電力について風力とソーラーを採用とする、としている。そのためには、市の電力供給源から変えていく必要がある。サンディエゴには南カリフォルニア・エジソン社の原子力発電所、サン・オノーフルが存在した。長い議論の末この原発は停止が決定したところ。今後はエジソンではなく市が主導権を持ち電力供給を選択することになる。市はSDG&Eという独自の電力会社を持ち、現在も市の電力の35%はSDG&Eが供給するが、これを100%にする必要がある。
近い目標としては、2020年までに市が所有する業務用車両の半分をEVにする。ゴミ収集車はCNG(ナチュラルガス)を採用する。また、下水処理場で発生するメタンガスの98%を回収、エネルギー源としてリサイクルの予定だ。
同市のケビン・フォルコナー市長(共和党)は、「市が電力グリッドをコントロールすることで新たな雇用が生まれ、経済を刺戟する」と民主党が多数派の議会に呼びかけた。共和民主両党および地域ビジネスがこうした市の主導する環境保護政策に一致団結するのは極めて稀なことだ。
どのようにして100%の再生利用可能エネルギーを導入するかの青写真はまだ議論の途上にある。とりあえずのゴールを設定し、それに向かって今後タイムラインを作成することになる。