2024年7月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月8日

リスク免れ得ぬ真の国際通貨への道のり

 人民元がSDRに採用されたからといって、真の国際通貨になったわけではないというのは社説の言う通りです。

 元のSDRへの採用は、象徴的な意味合いが強く、中国がIMFから経済大国としてのお墨付きをもらったことになります。特に、元がSDRのバスケットの中で、ドル(41.73%)、ユーロ(30.93%)に次ぎ第3位の通貨(10.92%、ちなみに円は8.33%で4位、英国ポンドは8.03%で5位)となったことで、中国は威信が高まったとして喜んでいるのでしょうが、元が真の国際通貨としてのお墨付きをもらったわけではありません。

 元は、これから、SDRの第3の通貨にふさわしい、真の国際通貨になることが求められます。中国は依然として資本流入や為替相場を厳しく制限しており、元が真の国際通貨となるためには、これらの制限を緩和していかなければなりません。

 しかし、それはリスクを伴うものであり、成長が減速する中で、中国政府がそれを着実に実行するのは容易なことではありません。現に中国政府は、資本流出の悪化を懸念して、2015年末までとしていた市場開放拡大の期限を2020年末に先送りしました。

 この先送りは、主として経済的考慮からなされたものですが、より基本的には、元を市場原理に任せるということと、政府がすべてを主導しようとする政治体制との間の相克があります。市場原理に任せるということは、政府が規制、介入をしないということです。非常時の介入は別で、非常時には西側経済でも介入があり得ます。しかし、通常時においては、中国政府は資本の流出入や為替への介入を極力抑えるのみならず、中央銀行の独立性の尊重、銀行部門の適切な監督などが要請されます。習近平体制がどこまで本気でそれらをするつもりか。元が真の国際通貨になる道のりは平坦ではありません。

  
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