「子縁」でつながる秋津地域のお父さん 

2016年1月11日

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岸 裕司 (きし・ゆうじ)

秋津コミュニティ顧問

1952年東京生まれ。広告・デザイン会社の(株)パンゲア代表取締役、習志野市立秋津小学校PTA会長時に秋津コミュニティ創設、会長を経て現在顧問兼秋津小学校コミュニティルーム運営委員会顧問。文部科学省委嘱コミュニティ・スクール推進員、学校と地域の融合教育研究会副会長、埼玉大学・日本大学非常勤講師、ほか。著書に『「地域暮らし」宣言』『学校を基地にお父さんのまちづくり』(ともに太郎次郎社エディタス)、『学校開放でまち育て』(学芸出版社)など。

「コミュニティ・スクールから
スクール・コミュニティへ」

 ところで私は2014年5月29日に参議院文部科学委員会に招かれて、20人ほどの参議院議員に「コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへ」と題した話をしました。

 コミュニティ・スクールについては、上記のような制度を2006年に千葉県で最初に導入した秋津小学校での経験や、CSマイスターとして派遣されて見てきた全国の有意義な事例の紹介をしました。

 後半の「スクール・コミュニティ」とは聞きなれない単語と思います。要は、学校の校舎内を含む施設開放による住民自治での生涯学習や福祉のまち育ての秋津モデルの総称です。

 コミュニティ・スクールが学校運営改革であるのに対して、スクール・コミュニティは放課後や休日などの学校教育として使われていない学校施設を地域に開放することでの新しいまちづくりのイメージです。その詳細は、拙著『中高年パワーが学校とまちをつくる』(岩波書店、2005年)や『市民立学校をつくる教育ガバナンス』(大月書店、共著、2005年)に書きました。

 また、最近スクール・コミュニティの文言を目にするようになりました。
たとえば、「尾木ママ」の尾木直樹氏は『中央公論』(2015年6月号)でこのように述べています。

 「公立学校が地域のコミュニティの中心になって、町全体が活性化し、子どもから高齢者までいきいきできるような場所になるのが理想です。このような考え方と実践を『スクール・コミュニティ』と呼んでいますが、わざわざ高いお金を払って習い事に通わせなくても、多様な人々に囲まれて、学校のなかで様々なことを子どもが学べる体制を作っていけばいいと思うんです」と。

尾木直樹氏と筆者との対談風景(月刊『悠』提供)

 尾木さんとは、以前に月刊『悠(はるか)』(ぎょうせい発行)で対談し、また秋津小学校で講演もしていただいたので、上記の「公立学校」は、秋津小学校のことであろうと手前味噌ながら想像します。

 秋津では、4つの余裕教室と約200㎡の花壇・陶芸窯を秋津小学校コミュニティルームの名称で地域開放し、今年で21年目に入りました。

 しかも鍵は住民委員15名が保管管理する「自主・自律・自己管理」を理念とした住民自治での完全運営で、40ものサークルなどが年間約1万2千人も無料で利用しています。

 これらの実践は、既存施設の有効活用であることからチープガバナンスに大きく貢献し、国会議員さんらを驚かせました。

スクール・コミュニティの初の公的な文言

 国会で述べた秋津モデルの話が波及し、2015年3月4日に提言された首相の諮問機関である「教育再生実行会議」の第6次提言でも、「スクール・コミュニティ」の文言が使われました。

 同提言の「3.教育がエンジンとなって『地方創生』を」の「地域を担う子供を育て、生きがい、誇りを育む」では、以下のように記されています。

 「少子・高齢化が進展し、地域コミュニティに多様な機能が求められる中で、学校は人と人をつなぎ、様々な課題へ対応し、まちづくりの拠点としての役割を果たすことが求められます。こうした観点から、全ての学校において地域住民や保護者等が学校運営に参画するコミュニティ・スクール化を図り、地域との連携・協働体制を構築し、学校を核とした地域づくり(スクール・コミュニティ)への発展を目指すことが重要です。その際には、学校教育と社会教育が一体となったまちづくりの視点も重要です」と、( )カッコでくくりながらですが「スクール・コミュニティ」の文言が入っています。いわば初の公的なスクール・コミュニティの文言と言えます。

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