そして、前述のようにこのサーキットブレーカー制度が8日に停止され、人民元が切り上げられたことで市場は落ち着きを取り戻し、中国株市場は上昇、日本を除くアジア株市場も軒並み値を上げた。日本株市場も取引時間中は値を上げていたが、引けにかけて下げた。日本株が他市場と異なる動きを見せたことには日本の特殊事情があった。
投資家心理は引き続き悪いまま
中東での地政学リスクが懸念されていたところに、北朝鮮の水爆実験成功の報道があった。真偽のほどは別にしても、リスクオフムード一色の中で日本株市場に対する投資家心理を悪化させるには充分なインパクトがあった。更にはリスクオフの流れの中で進んだ円高も日本企業の業績悪化を懸念させた。こうした要因により、他のアジア市場が値を上げた8日の市場でも日本株市場は26年ぶりとなる年初から5日連続となる下落で取引を終えた。
投資家心理は引き続き悪いままだ。当面こうした状況は続くだろう。警戒感が強い中で良いニュースに対する反応は薄く、悪いニュースには過敏に反応する展開が予想される。今年は年後半に米国大統領選挙も控え、様子見ムードも広がりやすい。特に年前半は神経質でボラティリティの大きな相場が続くと考える。
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