2024年4月22日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年2月12日

大河の流れは茨城から静岡へ

 この動きはもちろん中国国内の需要の争奪戦だけが目的ではない。約600万人とも言われる春節期の海外旅行人口に向けたアピールであり、日本で定着したいわゆる〝爆買い〟客の奪い合いなのである。

 春節に始まり、5月のゴールデンウィーク、夏休みを経て10月の国慶節まで、中国からは年間を通じて大規模な観光客の流れが少なくとも4回は見込まれるのだから、これに合わせて日本の形も大きく変わってきている。

 関西から京都を経て、富士山を見て東京から帰国するという典型的な弾丸ツアーは少なくなり、昨年からは船で来て〝爆買い〟とグルメを楽しむだけで帰る旅行も人気になっている。これは、九州や大阪が中心となり、なかでも「お金を落してくれる相手には寛容でフレンドリー」な大阪は中国人観光客との相性が良く、〝爆買い〟の恩恵に最も浴しているとされる。

 一方、意外な場所にスポットが当てられたという意味では豊橋などの中部圏がある。もともと大阪と東京を結ぶ中継点として「休憩の場」として宿泊の需要が高まったのだが、弾丸ツアーが下火となった今は中部に下りて関西か関東へと向かう入り口としての需要となった。これによりホテル不足が深刻化し、ラブホテルを丸ごと借り受けようと走り回る旅行会社も現れたという。

 また、「さして観るべきところもない」ことから〝爆買い〟の日と位置づけるツアーも多く、お菓子の爆買い場所として全国のお菓子メーカーの注目を集めた。この流れが、それまで無駄な「箱モノ行政」の典型例として叩かれた静岡空港をすっかり蘇らせてしまったことは有名だが、その影響は北関東にも及んでいるようだ。

 中国からの観光客が増え始めた初期に、東京の空港のキャパシティーの問題から重宝された茨城空港が、すっかり一時期の勢いを失ってしまったからだ。
蛇行する川の流れが大雨によって変わるように、〝爆買い〟ツアーにも流行り廃りはつきもので、それによって起きる各地の浮沈は避けられない。


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