母子手帳が世界を変える

2016年3月7日

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母子手帳に込められた未来への希望

 パレスチナ母子手帳の「スイートメモリー」というページは、両親が子どもの成長や気づいたことをメモできる特別なページだ。これは、来日したパレスチナの保健行政官が日本の母子手帳には母親がたくさんの書き込みをしていることに気づき、発案されたページだ。母子手帳は医療記録、健康教育のツールとして重要な役割がある一方、両親が子どもに託す様々な未来への思いも込められている。

 「初産で不安だったけれども、安心して出産が迎えられるようになった」

 「イラストが多くて読みやすい」

 「自宅で夫と妊娠や子育てについて話し合えるようになった」

 「子どもが大きくなったら、記念として手渡したい」

 母子手帳に子どもの写真をはったり、表紙にラミネート加工を施したり、子どもが成長するまで大切に使っていこうと、母親たちは思い思いに工夫を凝らしている。

 パレスチナ母子手帳には、また、パレスチナの医師、看護師や助産師、母親たちが望む、家族の理想的な姿が描かれている。特に目立つのが、父親の育児参加だ。妊娠中、出産後の子育てで、夫にはこんな役割を果たしてほしい、そう願う理想の父親像が母子手帳の随所に描かれている。表紙に両親と子どもが描かれていることも理想の一つだ。母子手帳を開発した段階では、これらは理想であったが、実際に運用が始まると、実に多くの父親が母子手帳を手に子どもを抱いて、乳児健診や予防接種のため保健センターを訪れるようになった。これは私たちにとっても想定外の出来事だった。

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