イランには、ロウハニ大統領を中心とする国際協調派と、革命防衛隊を中心とする対外強硬派がいます。イランの政策の最終決定者である最高指導者のハメネイは対外強硬派とみられています。しかし、ハメネイの立場は簡単には割り切れません。
協調と対決の両側面もつイラン
ハメネイの心情は反米と言われます。1953年のCIAによるモサデク政権の転覆、米国のシャー全面支持などの歴史に照らせば、反米は無理もありません。しかし、核交渉のイニシアチブをとったのはハメネイでした。ロウハニが大統領に選出される前に、米国と秘密の交渉を始めています。最近では、拘束されていた米国人とイラン人の相互の釈放を最終的に認めたのはハメネイだったと報じられています。
ハメネイはイランの対外開放、国際協力と、それによるイラン経済の回復を望んでいるふしがあります。しかし、国内の保守強硬派とのバランスをとる必要があり、適宜、対米強硬策を宣言しているものと思われます。
たとえハメネイの立場がそのようなものであるにしても、イランの対外政策が協調と対決の両側面を持っていることに変わりはなく、それに対し米国が関与と抑止のバランスを取る必要があることは、バーンズの言うとおりです。
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