安保激変

2016年3月2日

»著者プロフィール
著者
閉じる

小谷哲男 (こたに・てつお)

明海大学外国語学部教授

日本国際問題研究所主任研究員を兼任。専門は日本の外交・安全保障、日米同盟、インド太平洋の国際関係。主な共著に『アジアの国際関係―移行期の地域秩序』(春風社)など。
 

国際社会はさらなる法廷手段を検討するべき

 中国の行動を改めさせるため、国際社会はさらなる法廷手段を検討するべきだ。特に、中国による岩礁の埋め立てと人工島の建設は、南シナ海の海洋環境を破壊している。国連海洋法条約の下で、中国には海洋環境を保護する義務を負っているため、海洋環境の保護を中国に求めるとともに、司法手続きを検討することで中国による南シナ海の軍事化を牽制することができるだろう。 

 2003年に、マレーシアはシンガポールが両国の海洋境界付近で行っていた埋め立てが、航行の安全や海洋環境への悪影響を与えている、と国際海洋法裁判所に埋め立ての中止と環境に関する情報の提供を求めて提訴し、裁判所が一部の埋め立ての中止を命令したという前例もある。

 加えて、国際裁判所が中国の行っている人工島の建設に法的根拠がないとう結論を下せば、米軍が行っている「航行の自由作戦」に日豪なども参加し、国際的な活動にするのが望ましい。仲裁裁判の判決の受け入れを中国に受け入れさる強制手段はないため、各国の軍が中国の人工島周辺に敢えて入り、そこで訓練や演習、偵察活動を行うことで、国際裁判所の判決を軍事的に裏づけることが必要だ。

 国際法を通じて中国の行動を返すには、国際社会が十分連携する必要がある。日米や豪州、ヨーロッパ諸国はフィリピンによる仲裁手続きを平和的手段として歓迎しているが、ASEANの中にはまだこれを支持していない国がある。このため、ASEANが一丸となってフィリピンの平和的な解決を目指す努力を支持するよう、2国間や多国間の協議を通じて働きかける必要がある。

 ただし、この仲裁裁判の結論は、日本にとって諸刃の剣となる可能性がある。国際司法の場で岩に関する判断基準ができれば、沖ノ鳥島の法的地位についてもその基準が当てはまるかもしれない。中韓は沖ノ鳥島が排他的経済水域や大陸棚の基点になり得る島ではなく、岩であると主張している。このため、日本は沖ノ鳥島の法的地位を守るための理論武装を一層行う必要がある。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る