2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年3月17日

 そのイリノイですら勝利を収めたトランプ氏。普通の候補者ならば、自らの集会で暴力事件が起きれば「遺憾に思う」ものだし、暴力をふるった支持者に対し「理性的な対応を」と呼びかけるはずだ。ところがトランプ氏は「古き良き時代ならば、この程度では済まなかった。集会の邪魔をした人間は今回のことで次はもっとひどい目にあわされると学んだだろう」と言い抜ける。トランプ氏の厚顔無恥さを「テフロン・ドン」と揶揄する声があるが、まさにどんな批判も跳ね返すテフロン加工っぷりだ。

暴力沙汰でヒートアップするトランプ熱

 イリノイでの騒ぎはあわや乱闘、というところまで発展したため世界中でニュースとなったが、トランプ集会での暴力沙汰はこれまでにも何度も起きている。サウス・カロライナではトランプ氏を「白人至上主義」と非難した黒人男性が支持者から殴られ流血沙汰になった。

 しかしこうした騒ぎがますます支持者をヒートアップさせ、熱狂的な「トランプ教」が広まっているようにすら感じられる。

 実はトランプ・キャンペーンのボランティアに参加する人は、ある誓約書に署名させられるのだという。その誓約書には「生涯にわたりトランプ個人、トランプの家族などを決して悪く言わない」と明記されている。つまりボランティアと言えど「絶対服従」が強いられる。まさにファシストだ。

 15日の結果、ルビオ氏が脱落したことは、ストップ・ザ・トランプ運動に大きな打撃を与えるものとなった。現在運動の急先鋒である、元共和党候補ミット・ロムニー氏は、現在の候補者を最後まで競わせることで票を分け、トランプ氏が指名獲得に必要な過半数を取れなくする、という作戦を練っていた。ところが対立候補が2人となったことで、作戦は危機に陥っている。


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