多くの日本人に愛され、「昭和の国民的画家」と称えられた東山魁夷〔かいい〕。没後10年にあたる節目のこの年、山種美術館で開催されるのが「東山魁夷と昭和の日本画」展だ。
会場には、「白い嶺」「年暮〔く〕る」「緑潤う」など、山種美術館が所蔵する19点の東山作品とともに、東京美術学校時代に彼と同級生だった橋本明治、加藤栄三、山田申吾〔しんご〕の作品、そして昭和の画壇に話題を振りまいた未更会〔みこうかい〕メンバー(森田沙伊〔さい〕、山本丘人〔きゅうじん〕、杉山寧〔やすし〕、髙山辰雄ら)の作品が展示される。昭和という激動の時代に、より自由な発想で新しい日本画のあり方を模索してきた彼らの画業が俯瞰できるだろう。
紙本・彩色 山種美術館所蔵
また、新・美術館記念展の第2弾として開催される今回の展覧会では、昭和43(1968)年に完成された皇居新宮殿の宮内庁委嘱作品にちなんで制作された、東山魁夷の大壁画「満ち来る潮」、上村松篁「日本の花・日本の鳥」、橋本明治「朝陽桜〔ちょうようざくら〕」、山口蓬春「新宮殿杉戸楓4分の1下絵」、安田靫彦〔ゆきひこ〕「万葉和歌」が12年ぶりに一挙特別公開され、大迫力で展示室を飾る。
日本初の日本画専門の美術館だけあって作品の充実度は申し分なし。日本画ファンには見逃せない展覧会といえそうだ。
没後10年記念「東山魁夷と昭和の日本画」展
東京都渋谷区・山種美術館(山手線恵比寿駅下車)
〈問〉03(5777)8600(ハローダイヤル)
http://www.yamatane-museum.or.jp/
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