2024年4月23日(火)

イノベーションの風を読む

2016年4月15日

 よく利用するチャットボットをメッセンジャーの相手として登録しておけば、直接ボットと会話をすることができる。

 クックボット「こんにちは、エビのチリソースはいかがでしたか?」

 自分「美味しかったよ」

 クックボット「それは良かったです」「今日は何を作りますか?」

 自分「エビのパスタが食べたい」

 クックボット「エビがお好きですね」「エビのクリームソースのパスタが一番人気がありますが?」

 自分「トマトソースの方がいいな」

 クックボット「ではエビとベーコンのトマトソースパスタはいかがですか?」

 ボットはいくら待たせてもいいので、買い物に出かけてから会話を再開しても構わない。

 自分「二人分の材料は?」

 クックボット「リングイネ、むき海老…」

 という具合だ。これまでの、料理のレシピや写真を投稿するサイトでの体験とはかなり違うものになるだろう。すでにTwitterで食材をつぶやくと、その食材を使った料理のレシピをレシピサイトから探して返してくれるというボットもあるが、それは会話というよりは、検索窓に食材を入力する代わりに「つぶやく」という程度のものだ。

会話の中で進むEコマース

 各社から発表されたチャットボットの機能は異なり、現時点でできることは限られているが、スマートフォンのアプリや、ブラウザー向けのWebページの機能が、メッセンジャーのチャットボットに置き換わってしまう可能性は非常に大きい。ユーザーはOS上でアプリを起動するのではなく、メッセンジャーの中でチャットボットを呼び出すようになる。

 メッセンジャーアプリに登録されたユーザーの情報を利用すれば、チャットボットが過去の購入履歴に基づいた商品のおすすめをしたり、課金や配送先などの入力を要求することなく、会話の中でスムーズにEコマースを完了することが可能になる。

 これは企業が提供するサービスやマーケティング戦略に大きな変化を強いることになるだろう。やっとパソコン向けのサイトをスマートフォンに対応させた途端に、それらが無意味になってしまいそうだ。スマーフォンのアプリを開発してきた企業も、iOSとAndroid上のアプリ開発者やGUIデザイナーなどと異なるスキルを持った別の人材が必要になる。

 それ以上に、これまでスマホエコノミーを牛耳ってきたAppleとGoogleに、FacebookやLINEが取って代わる可能性すらあるように思える。
 

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る