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2016年4月26日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

惑星探査機の遠隔操作する技術を活用

 日産は90年代から多くの運転支援技術を導入してきた。その中には、世界初となる07年に開発した車線逸脱防止技術、12年の後退時衝突防止技術などがある。こうした先進的な技術を段階的にマーケットに導入することで、自動運転車に対する社会の受容性を高めることが重要だという。自動運転技術を進化させるためのコアになる技術としては、人間の眼の代わりとなるセンシング技術の重要性を強調した。複数のセンサーを装着することにより人間の眼の能力をはるかに上回る360度の視野でセンシングが可能になる。

 また、最新の技術では人工知能などを使って予測ができるようになっているという。例えば、交差点を右折しようとした場合、前方から直進車が走っている場合は、交差点を渡っている歩行者が直進車の影になって消えてしまうことがあるが、人工知能を駆使することで、車で歩行者が見えなくても自動運転車は歩行者が歩いていることを予測できるようになってきているという。

 将来の先端的な技術を開発するため、世界の研究機関や大学とも共同研究をしている。米航空宇宙局(NASA)とも1995年から5年間パートナーシップを組んで自動運転技術の共同研究を行った。NASAは惑星探査機を地球から遠隔操作する技術を開発しているが、この技術は将来は自動運転に活用される可能性もあり、NASAの技術開発と多くの共通点があったという。

闘う土俵が違う

 自動運転車の開発では自動車以外の異業種からの参入が話題になっているが、山口社長は「異業種からの参入はうれしいことだが、(自動運転車になっても)運転を楽しんでもらうという思いがあるので、ロボットタクシーのようなものは考えていない」と述べ、グーグルやIT大手のアップルが描いているような自動運転車とは「闘う土俵が違う」と、一線を画する考えを示した。日産は自動運転車がどのように進歩しても、ハンドル、ブレーキなどは残して、ドライバーはいつでも自動運転から通常の運転に切り替えられる機能は維持する方針だ。このため、グーグルなどが描いている、目的地に人間を運ぶだけのロボットタクシー的な考え方とは相入れない。

 またグーグルやアップルなどITメーカーが自動車運転車市場をリードするのではないかという見方に対しては「日産は自動運転の開発ではトップグループの集団にいると思う。一つの企業が自動運転車市場を征服するのは想像しがたい」と話した。

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