朴大統領は、野党や世論の反発が鎮まらなくても合意履行の次のステップである財団設立へと突き進もうとしている。この発言を正確に読めば、そういう意味になる。韓国政府は実際、5月中に財団設立の準備委員会を作り、6月末か7月初めには財団を立ち上げようとしているのである。
少女像移転は「逐条的に確認しあったわけではない」
安倍政権も、そんなことは理解しているということだろう。萩生田光一官房副長官は翌27日の記者会見で、「今回の合意において韓国側は日本政府が大使館前の少女像に対して懸念を持っていることを認知し、韓国政府も適切に解決されるよう努力をすることとなっている。他方、合意の前提かというと、そういった細かいことを逐条的に確認しあったわけではない」と述べた。(質疑は「動画」の4分30秒目くらいから)
萩生田氏は「やはり、この問題を最終的かつ不可逆的に次世代に引きずらない。お互いに日韓新時代の新しい関係を築いていこうというのが日韓合意の大きな意味だから、そういう意味では細かいことの一つに含まれていると私は認識している」とも述べている。
日韓新時代を築こうという合意の意味を考えれば少女像移転は当然やってもらいたいが、確実な約束になっているわけではない。歯切れの良くない萩生田氏の発言趣旨をまとめれば、こんなところだろう。
ちなみに質問をした記者は、朴大統領の発言について「財団の出資金の前提条件という意見をけん制した」ものだという自らの考えを示した上で、日本政府の受け止めを聞いた。「意見をけん制」というのはユニークな表現である。